2022 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の意思決定能力判定指標の開発ならびに意思決定支援アルゴリズムの構築
Project/Area Number |
18K10543
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
山田 紀代美 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (60269636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 裕香 名古屋市立大学, 看護学部, 助教 (40808870) [Withdrawn]
原沢 優子 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 准教授 (70303774)
小出 由美 大和大学, 保健医療学部, 講師 (00840563)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者 / 認知症 / 意思 / 難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、特別養護老人ホームにおいて認知症高齢者の意思表示としての言動等の反応を明らかにすることを目的に高齢者と看護・介護スタッフの関り場面を観察し、介護スタッフの働きかけに対する高齢者の反応を観察することとした。 対象は、認知症高齢者で難聴のある者4名と難聴を認められない高齢者4名の合計8名である。観察期間は4週間で一人当たりの観察時間は4時間であった。 結果は、対象者の性別は全員が女性で、年齢は83歳から103歳で平均年齢は92.5±6.7歳であった。認知機能は、Mini mental State Examination(MMSE)は4点から18点で平均は14.0±4.5点であった。認知症高齢者の意思の表示方法として、言語によるもの(「はい」、「わかった」、「承知しました」、「嫌だ」、「わからん」、「なんだ」など)、話者に顔を向け目を見てうなずく、顔を向けずにうなずくだけ、笑顔になる、話者の指示や話の内容に適した行動をとる(お風呂に行きましょうというと椅子から立とうとするなど)、目をきょろきょろさせながら困った顔をする、首をかしげる、肩を落とし腕を体の前で交差するように組み顔および視線は下を向くなどの行動が観察できた。また、場合によっては無言で無反応とみられる場合も認められた。 認知症高齢者の意思表示として各個人ごとにバラエティー豊かな方法で表現されていた。また、ケースによっては、言葉で「嫌だ」と言いながらも介護スタッフによる言葉の言いかえや動作を加えるなどの誘導法の工夫により、次第に目的的な行動をとるという場面も何度も確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究が予定通り進まなかった理由として、2020年から世界的に感染が広がったCovid-19により高齢者施設における部外者の立ち入り禁止等の規制が2021年度末頃まで継続したため調査が実施できなかったためである。さらに、研究代表者が2023年度から新たな所属へ異動したことに伴い、新たなフィールドの開拓および新規の倫理審査が必要となり、多くの時間をそれらに要したためである。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の新しい所属において、新規の施設における研究協力の承諾を取り付けるとともに所属における倫理審査の承認を経て、2022年度の2月から研究が開始され2023年5月末頃までで当該研究は終了する予定である。 その後、データの整理、分析を行い、2023年度中に結果をまとめる計画である。なお、結果の解釈において、対象者をよく知る調査実施施設の看護師や介護士の職にある者にスーパーバイズを求める計画である。それらの結果およびその解釈等がまとまり次第、学会発表並びに論文執筆等の公表の準備を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度には、当該研究者が所属大学を異動したため、これまで使用していた研究フィールドが使用できなくなり施設への謝礼や旅費が発生せずに残金が生じた。 2023年度には、新規に開拓した施設での調査を開始し、調査対象者への謝礼や調査に必要な消耗品等の購入に経費を使用する予定である。
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