2018 Fiscal Year Research-status Report
地理学のGIS、空間疫学、ネットワーク分析の適用を試みた地域診断の開発
Project/Area Number |
18K10547
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
入江 安子 奈良県立医科大学, 医学部, 非常勤講師 (80342195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 悠 奈良大学, 文学部, 講師 (50609534)
周藤 俊治 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (30420748)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域診断 / 空間疫学、 / エスノグラフィー / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究チームメンバー(空間統計学、ネットワーク分析、公衆衛生看護学)の会議を経て本研究における地域の概念を空間と時間軸の4次元で捉えることを確認した。その進捗状況について報告する。 先ず、国土数値情報の道路情報を入手し、奈良県道路Shapeファイルを地理情報システムQGISに読み込み、Google mapと併合し、分析を試みた。その結果、地域の集落は道路の密集と平地との関連で散在している状況が明らかになった。また、集落はミクロシステムであり、多数のミクロシステムの存在がマクロシステムを形成し、幹線道路によって繋がれている。さらに近隣市町村とのスープラシステムを形成している。この地域の構造(空間)を奈良県道路Shapeファイルの地理情報システムQGISへの読み込み、Google mapとの併合により視覚的把握が可能となった。 また、このデータをもとにミクロシステムである集落の地域事業、マクロシステムの保健事業を参加見学した。その結果、今後の地域診断のエスノグラフィーを展開するための地域と研究者をつなげるゲートキーパーや情報提供者との関係づくりができた。ゲートキーパーは、研究者にフィールドの調査活動の場で他の人を紹介し、信頼関係づくり仲介を担う人で、本研究にとって重要な二人との繋がりができ、アドバイスを得ながら進捗している。また、情報提供者とは地域の文化に精通している人々のことで、多数の情報提供者の存在を知ることができた。この様な研究実績をもとに、エスノグラフィーを用いて山間地域の健康課題の一つである介護予防についてトランスカルチャーの視点で捉え、介護予防事業のあり方について検討することを目的とした研究計画書を作成し、研究倫理審査を申請するに至った。 その他、人々のつながりである社会ネットワークも、ミクロシステム、マクロシステム、クラノシステムで分析する必要性も明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
やや遅れた理由として次の2点が挙げられる。1点目は、エスノグラフィーを実施するために地域との関係づくりに時間を要したことが原因である。その結果、ゲートキーパーや情報提供者の発見につながったことは研究の成果とも考えられるが、研究の遅れにつながった。 2点目は、研究チームにおける地域の概念の共有することに時間を要したことである。3人の研究メンバーの専門性の違いがある事が起因しているが、話し合いを経て地域を空間(構図)と時間軸という4次元で捉える事ができた。この概念は、今後の地域診断の重要な柱となると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、エスノグラフィーを用いて、山間地域の健康課題の一つである介護予防についてトランスカルチャーの視点で捉え、介護予防事業のあり方について検討することを目的とする研究計画書を作成し、研究倫理審査を申請中である。研究方法(データ収集)はフィールド観察とインフォーマル・インタビュー、情報提供者へのフォーマル・インタビュー、既存資料の分析を予定している。分析方法は、データ収集(参加観察、インタビュー、既存資料)と並行しながら実施してする。また、分析の精度を高めるために、フィールド観察の祖の分析は、二人で対応し、さらにトランスカルチャー看護に精通した専門家にスーパーバイズを受けることを計画している。 また、集落(ミクロシステム)を拠点とした地域活動や、マクロシステムの保健事業のフィールド観察を実施した結果、人々のつながりであるネットワークをミクロシステム、マクロシステム。地域を時間軸で捉えたクロノシステムの3次元で分析することを計画画している。具体的にはPajecの社会ネットワーク分析を用いて分析し、地域の構造と時間軸を一つの図に示す方法については協議中である。 その他、奈良県道路Shapeファイルを地理情報システムQGISは、地区診断における道路分析について検討することを目的に、医療機関、役場、公民館等の公的機関の地理的利便性について検討することも計画している。
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Causes of Carryover |
2018年度は、地域診断のためのエスノグラフイーを実施するための準備に当たられた時間であった。そのため助成金は、エスノグラフィーに関する文献及び地理情報システムに投入する国土数値情報費用等に充当したものである。2019年度は、本格的にエスノグラフィーの実施に入るため、フォーマル・インタビューのテープ起こし、フィールド観察のための交通費、人件費等に助成金を執行する計画です。また、ネットワーク分析費用の質問紙の作成、統計分析等にも充当すること予定しています
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