2019 Fiscal Year Research-status Report
地理学のGIS、空間疫学、ネットワーク分析の適用を試みた地域診断の開発
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18K10547
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
入江 安子 神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (80342195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤本 悠 奈良大学, 文学部, 講師 (50609534)
周藤 俊治 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (30420748)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 地域診断 / 空間疫学、 / エスノグラフィー / 地理情報システム |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は地域診断のためのエスノグラフィーに取り組んだ。(目的)A町の高齢者の介護予防におけるculturally congruent(文化を考慮した)ヘルスケアを明らかにする。(研究方法)Culture Care Diversity and Universalityの理論を用いた Qualitative Ethnonursing Research Methodを用いた。A町への研究のためのアクセスは、ゲートキーパーからの紹介を受け、高齢者のグラウンドゴルフ等の地域の活動の観察等を開始した。(データ収集)①フィールド観察(1から2回/週)、高齢者の地域活動の観察、インフォーマルインタビュー ②キーインフォマルインタビュー、対象は親世代からA町に住む60歳以上の者とし、スノボールサンプリングによる14名とした。③既存資料の分析。(研究期間)2019年4月から2020年4月。(分析方法)データからコード、カテゴリーを抽出し、テーマ、パターンに発展させた。(結果・考察)文化ケアの普遍性には「地域のアインデンティ」「地域の人々の凝集性とつながり」。多様性は「男女による相違」「地域を出て就労した経験の有無による相違」のテーマが明らかになった。高齢者の文化価値と地域の高齢者の健康活動は相互に関連し、文化の多様性は、健康活動の変化に影響していた。高齢者の文化を考慮した介護予防を取り組むには、対象者の文化ケアの多様性を理解するが求められる。そのためには対象者の文化価値を文化空間(cultural space)と時間軸(chronological culture)による変化を捉えることが課題である。 また、交通網とA町中央グラウンドゴルフ利用者と道路網との関連性をGIS(地理情報システム)を用いて分析し、中央グラウンドゴルフ周辺7.5㎞利用者が多いことが明らかになった。また各地域の利用者率と介護認定率との相関関係について分析を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度実施したエスノグラフィを実施するための準備に2018年度の一年間を要したことが、現在もやや遅れている状況につながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度、ネットワーク分析を計画している。本研究は、家族同心球環境理論(Version3)を研究概念としたパーソナルネットワーク研究である。目的は、山間地域の高齢者のグラウンドゴルフ参加者におけるパーソナルネットワークの密度や中心性を形成するクラスター及び空隙などの構造、道具的サポート、情緒的サポートのパーソナルネットワークの機能、パーソナルネットワークの形成過程の時間的側面検討することである。研究対象者は、グラウンドゴルフ参加している高齢者(65歳~95歳)。データ収集は、ネームジェネレータ方式による聞き取り調査(性別、在住大字、年齢階級、家族の人数等の属性項目、現在の治療中の疾病の有無等の健康状況項目、サポートメンバーの想起等のパーソナルネットワーク情報項目)とした。分析は、対象データをネットワーク分析(UNINET:Ver.6.207)を用いて分析し、ネットワークのグラフ化(Pajek:Ver.1.02)を試みる。予備研究20名を2020年6月実施予定、その結果を考慮し100名を予定している。
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Causes of Carryover |
2018年度、地域診断のためのエスノグラフィー実施するための準備に当たれたため、文献及び地理情報システムに投入する国土数値情報費用等にのみ充当した。2019年度は、フォーマルインタビューのテープ起こし、データ収集のための謝金に計画通り充当した。2020年度は、ネットワーク分析を予定している。データ収集において高齢者を対象としているため、対象者の安全を見守るデータ収集補助者の人件費(謝金)、ネットワーク分析に関連する費用、論文作成のための英文校正費用に充当することを予定している
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Research Products
(1 results)