2018 Fiscal Year Research-status Report
在宅においても実施可能である棒またぎ体操が歩幅、運動耐容能に与える効果の検証
Project/Area Number |
18K10555
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Research Institution | 湘南医療大学 |
Principal Investigator |
森尾 裕志 湘南医療大学, 保健医療学部リハビリテーション学科理学療法学専攻, 准教授 (60789577)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 運動療法 / ステップトレーニング / toe clearance |
Outline of Annual Research Achievements |
一年目である2018年度は,実用歩行に必要な歩幅を明らかにするとともに,在宅でも実施可能なステップトレーニングの適切な運動強度を調査することを目的とした。 まず我々は実用歩行に必要な歩幅について調査し,身長に対する歩幅(歩幅身長比)が31.0%以上の必要であることを明らかにした(Morio et al., 2019)。 ステップトレーニングの運動強度については,調律的聴覚的合図(rhythmic auditory cueing; RAC)のテンポと,障害物の高さを変更することにより調節を試みた。課題は棒またぎ体操とした。対象者は11名の健常若年男性であった。100%RACは,快適歩行時のケイデンスと定義した。棒またぎのタスクは,5種類の速さRAC(80,100,120,140,160%)と,3種類の障害物の高さ(0,2.5,10cm)の運動強度を組み合わせた15通りとした。メインアウトカムは,障害物をまたぐ際の先行肢と後続肢のストライド,および障害物間距離(toe clearance: TC)とし,3次元動作解析装置を用いて計測した。また,サブアウトカムは課題遂行中の心拍数とした。 分析の結果,TCを増幅させるためには,120%RAC以上のリズムが必要であることが確認できた。TCは,後続肢が低値を示すことが明らかとなり,つまずきの原因は,後続肢にあるのかもしれない。また,障害物の高さは,0cm負荷よりも,2.5cm,10cm負荷の方がTCを増大させることができる。次に,ストライドは0cm負荷,もしくは2.5cm負荷で120%RAC以上のテンポが望ましい。しかし,160%RACにおいては,疲労度が高く,とくに10cm負荷での160%RACは,若年者でも嫌気性代謝閾値を超えている可能性があった。以上のことから,棒またぎ運動の至適強度は,2.5cm高の障害物で120%RAC,もしくは140%RACが望ましいと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終的な研究対象者は高齢者であるが,まだ健常成人での基礎研究の段階である。高齢者に応用するにせよ,まずは安全性を確保することを優先したためである。本年度の研究で至適運動強度が明らかになったため,高齢者への調査へと移行したい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は,在宅においても実施可能である棒またぎ体操をトレーニングとして継続した際の,歩行パラメーター(歩幅、運動耐容能)に対する効果を明らかにすることである。今後は,高齢者の観察研究,および介入研究を実施するとともに,RAC生成のためのアプリケーションソフトの再現性,および実行可能性の調査についても実施する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度に購入予定であった高精度体構成分析器InBody570(1,550千円)の購入は,研究の遅延から次年度に移行することにした。代わりに当該年度では,成人データの分析に必要であった統計ソフトウェア IBM SPSS version 25の購入を優先した。SPSSは共分散分析を行うためにAmosを追加したこと,および少ない対象者数でも分析可能なExact Testsをオプションとして追加したために504千円に及んでしまった。次年度は,高精度体構成分析器の品質を一段階下げ,研究費の支出を抑える工夫を施すこととする。
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