2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a method for preventing dementia: Training of therapists visiting homes and facilities, verification of their effectiveness.
Project/Area Number |
18K10580
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
澤見 一枝 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60610996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 園美 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 教授 (00438285)
木村 満夫 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10816268)
水主 千鶴子 修文大学, 看護学部, 教授 (30331804)
森崎 直子 姫路大学, 看護学部, 教授 (30438311)
川口 昌彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60275328)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症予防 / サポーター / 居宅訪問 / 大学連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】認知症の予防的ケアにおいて、様々な認知レベルの、多岐に渡る状態像の高齢者たちはアクセスが不均等である。そこで、均等なケアの提供を目標として、大学間のネットワークを拡げ、介入地域を拡大してケアを実践する。これまでの活動で有意な認知得点の向上があった活動を選定して4県に拡大して活動、効果を検証する。また、認知症予防プログラムを提供できる人材の養成と派遣を行い、自宅や施設を訪問して予防的介入を行い効果を検証する。 【実績】前期高齢者が後期高齢者を支援するシステムを定着させるため、自治体と連携し、4大学共同で認知症予防サポーター研修を通年開催し、修了者には認定証を出して高齢者への支援活動を実施、定期的に地域住民への報告会を開催している。今年度だけは、新型コロナ感染対策のため、研修の通年開講を短期集中開講に変更し、1回4コマの集中講義として4回の開催で12コマを修了した。地域住民への報告会は10月に1回のみ開催できた。高齢者への居宅訪問活動は、感染予防の観点から実施せず、かわりにロボットを高齢者の居宅に設置して、遠隔コミュニケーションによって認知症予防活動を実施した。ロボットのカメラを通した画面によって、高齢者の表情や様子がわかるため、特に支障なく認知チェックもインタビューも実施でき、有意な心理・認知得点の向上が得られた。 論文:1. Development of a Robotic Method for Preventing Dementia. OSP Journal of Health Care and Medicine. 2021. 2. Effectiveness of the activities of supporters trained to prevent dementia. Iberoamerican Journal of Medicine. 2020.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【研究経過】これまでの研究経過において、毎年春に、認知症予防サポーターの候補者を募り、年間12コマの認知症予防サポーター研修を実施していたが、今年度はコロナ感染対策として1回4コマ連続の短期集中開講に変更し、例年通りのコマ数の実施を確保できた。修了者の居宅訪問は感染予防の観点から取りやめ、代わって遠隔コミュニケーションによる介入を実施している。この結果として認知・心理テストともに有意な向上が得られた。 【現状の課題】認知機能低下が進行した高齢者に対する介入において、対象は実行機能障害のために会話や行動に脈絡がない。これに対して、昨年度までは訪問による1対1の対話によって、これまでのことや昔のことを断片的に思い出し、焦燥感の軽減や良い思い出の再現ができていた。しかし、今年度はロボットを介した遠隔コミュニケーションのみで介入しており、効果は得られているが、訪問して触れ合うことによる関係性の深まりや安心感の向上は例年よりも効果が低かった。コロナ渦の遠隔コミュニケーションにおいても、安定した関係性の構築や安心感の向上を得ることが課題である。今後は、関係性の構築と安心感の向上に焦点をあて、遠隔コミュニケーションの手法の改善を計画している。 これまでは、実際の訪問での事例を用いて事例検討し、効果的な方法の検討を継続していたが、今後は今年度の遠隔コミュニケーションの事例を用いて事例検討し、効果的な方法を選定して用いる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.認知症予防サポーター研修の継続とサポーターの地域活動の検証:認知症予防サポーター研修は、新型コロナ感染予防対策として、今年度と同様に、短期集中およびリモートを取り入れた研修を継続する。地域活動も遠隔コミュニケーションのみの予定であるが、遠隔ツールを用いた評価を継続する。 2.遠隔コミュニケーションにおける高齢者への介入の検討:認知機能障害のある高齢者への介入は、その時々によって反応がまちまちであるが、安らげる場の設定と対象が安心して会話を継続するための傾聴技術が求められる。しかし現在はコロナ渦で、遠隔コミュニケーションのみで介入しており、これまでの訪問活動で得られていたような心理効果は得られていない。今後、どのように遠隔コミュニケーションだけで対象を理解し、対象に伝わるのか、今までよりも能動的に対象の気持ちを慮る必要がある。 「遠隔」であることが円滑なコミュニケーションの障壁となっているが、現在までの遠隔コミュニケーションの事例を検討した結果、離れた場所にいるために、はじめにお互いのことを理解するための時間を多めにとることが有効であった。また、家族などの対象をよく知る人から情報を充分に得ておくことが、対象の理解を促進していた。このような事例検討を継続すると共に、対象との「親睦を深める」、対象が「楽しめる」ための、自己紹介のしおりの作成などの事前準備を行う。リモートでは「訪問するための往復時間」が短縮されるため、連絡を密に取れることがメリットであり、この利点を活用して関係性や安心感を高めることを目指し、実際の効果を検証する。
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Causes of Carryover |
高齢者居宅訪問のための交通費について、COVID-19予防対策のために訪問を中断したため、使用しなかった。次年度に訪問が再開できれば、訪問予算に充当する。
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Research Products
(10 results)