2020 Fiscal Year Research-status Report
大学生の自殺予防に必要な「誰かに助けを求める力」を養うための教育プログラムの開発
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18K10590
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Research Institution | Health Science University |
Principal Investigator |
望月 宗一郎 健康科学大学, 看護学部, 教授 (30468227)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 自殺予防 / 自殺 / 若年層 / メンタルヘルス / 文献検討 |
Outline of Annual Research Achievements |
5歳階級別の10歳から39歳まで,「自殺」が死因第1位に挙がっており,大学生にとって自殺予防は喫緊の課題である。また,2020年はCOVID-19感染拡大により我々の生活様式は大きく変わり,夏には人気俳優の相次ぐ自殺報道があったことからウェルテル効果も影響し直近の9月は女性の死亡者が30%増という報告もあった。 2020年度の研究実績としては,当初大学生を対象とした実態調査を計画していたが,新型コロナウイルスの蔓延と経済状況の悪化などから,死亡者数や自殺者も増加傾向にあり,本研究のテーマである「自殺」というキーワードから負のイメージを連想させることも相まって,調査を見送らざるを得ない状況であった。そこで,研究計画の見直しを行い,先行文献を再度丁寧に検討することとした。 わが国においてすでに発表されている研究論文のうち,「自殺」と「メンタルヘルス」という2本の柱を軸に,小学生・中学生・高校生・大学生を対象とした文献を検討し,2010年から2019年までの10年間における自殺研究の傾向を整理した。 医学中央雑誌Web版にて2010年から2019年に国内で発表された研究論文のうち,「自殺」と「メンタルヘルス」をキーワードに「大学生」,「高校生」,「中学生」,「小学生」を掛け合わせて抽出した。これらの論文のタイトルを計量テキスト分析により形態素に分解し,階層的クラスター分析を行った結果,「自殺」では8クラスター,「メンタルヘルス」では9クラスターが抽出され,当事者がまず身近な誰かにSOSを発信できるか,それを他者が確実にキャッチできるかが重要であることが示唆された。今後は「誰かに助けを求める力」を育むための効果的な教育プログラムを開発する必要があることを再確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大学生を対象とした実態調査及び尺度開発を計画していたが,新型コロナウイルスの蔓延と経済状況の悪化などから,我が国の死亡者数や自殺者も増加傾向にあり,本研究のテーマである「自殺」というキーワードから負のイメージを連想させることも相まって,調査を見送らざるを得ない状況であった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の予定としては、尺度に用いる内的整合性を検討し信頼性を確認したうえで、A県内5大学の5学科に在籍する500人(1学科100人を想定)に対しデータ収集を行う予定である。 想定している調査項目は、基本属性のほか、不安感、孤立感、自殺念慮の有無、今自分が置かれている状況を理解できるか、解決すべき課題に対し対処しようと思うか、誰かに助けを求めることができると思うか等である。 その後、リスク対処認識尺度の構成概念妥当性を確認し、尺度を完成させる。大学生に対し試行的に介入し教育プログラムの構築を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、約500人の質問紙調査を翌年度に繰り越したことにより、これにかかる経費が2021年度に回される結果となった。 2021年度には、当初予定通りの調査を実施する計画となっている。
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Research Products
(2 results)