2019 Fiscal Year Research-status Report
親の介護に直面する労働者の課題の明確化と包括的支援モデルの構築
Project/Area Number |
18K10602
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
津田 紫緒 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (00402082)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 労働者 / 介護 / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年の高齢化に伴い今後ますます増えることが予測される親の介護(以下、親介護)に直面する労働者に焦点をあて、介護の実態、就労との関連、および労働者の親介護に関する課題の明確化を行い、職域および地域における支援方策を検討することを目的としている。2019年度は以下(1)~(3)を行い、成果を得た。 (1)諸外国における家族介護と就労についての比較検討 前年度に行った諸外国における家族介護に関する基礎資料の比較検討より、同じ超高齢社会である北欧諸国と日本における様々な相違点が明らかになった。今年度は両国における家族介護と就労に関する文献検討を行い、家族介護労働者に関する既存システムについて整理を行い、家族介護を行う労働者への支援施策に関する既知見をまとめた。その結果、両国で一定数の家族介護労働者が存在しながらも、同居・遠隔介護、介護離職という就労にまつわる課題は日本においてより多く報告され、その背景に高齢者保健福祉制度、介護施策や労働に関する風土や環境など様々な要因があることが確認できた。 (2)文献検討 前年度に着手した国内外文献検討より多岐にわたる家族介護労働者の課題の要因が様々な領域にわたることが示唆されたことを受け、検索範囲を拡大して国内外における家族介護労働者の特性、課題や支援に関する資料を幅広く収集し、構造化抄録を作成しながら既知見をまとめた。労働者における家族課題の影響が顕在化する背景には業務に関連する特性、職場の環境や風土、時間のマネジメント状況などがあることが確認できた。 (3)(1)、(2)の結果を踏まえ、本研究の具体的な計画の再確認および調査実施に向けての調査内容の吟味や機関内手続きに向けての準備を行った。また、いくつかの企業の産業保健担当者、自治体高齢者担当保健師および実際に家族介護を担う当事者らと研究テーマに関する協議を行い、研究体制の構築を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度に親介護経験を有する労働者へのインタビュー調査などの開始を予定していたが、自他国間の制度比較および構造化抄録の作成による文献検討を踏まえた調査項目の吟味や整理、その後の機関内手続きに時間を要し、年度内の実施には至らなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、今般の感染症の状況を踏まえ、遠隔による実施なども含めて効率的な実施方策の検討を含めて、調査計画の再策定を行い、予定していた親介護経験を有する労働者などへのインタビュー調査を実施し、労働者の親介護実態および支援ニーズや課題の明確化を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
当該年度に予定していた調査を次年度以降に延期することとなったため、実施時期に変更が生じた調査の遂行に関する物品、旅費および調査補助にかかる人件費として使用する。
|