2021 Fiscal Year Research-status Report
親の介護に直面する労働者の課題の明確化と包括的支援モデルの構築
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18K10602
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
津田 紫緒 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (00402082)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 労働者 / 介護 / 家族 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、親の介護(以下、親介護)に直面する労働者に焦点をあて、労働者の親介護に関する課題の明確化を行い、支援方策を検討することを目的としている。
2021年度は以下(1)~(3)を行った。 (1)新型コロナウイルス感染症(コロナ)の影響について、特に在宅勤務などの就労環境の変化に関連する影響について資料収集・整理を行い、これまでの就労・介護の両立支援施策の今後の実効性や新たなニーズの有無について検討した。感染拡大が続くなか、3~6割の労働者が在宅勤務を実施していることが示された。また、時間単位の在宅勤務の導入や、可能な業務範囲の拡大など在宅勤務の複雑・高度化も示唆された。さらに小規模事業場や契約社員、公務員などにおいて低い実施率が示されていた。コロナ禍で多様な働き方が定着しつつあり、労働者の生活支援を検討する上では雇用形態や業務特性などを踏まえた吟味を重ねる必要があることが明らかとなった。 (2)多様な働き方を実践する労働者が介護に関連して利用できる資源の変化や新たなニーズの有無について検討した。第6波の急激な感染拡大は介護サービスの休止や縮小による介護負荷の増大、介護者を含む家族内感染による自宅療養・待機の長期化等の影響を及ぼしていた。また、家族が同居する場合、介護サービスが利用しにくい等の資源利用上の課題が明らかとなった。多様な働き方の定着は、介護と仕事の両立の一助となる一方、新たな課題をもたらしていることが明らかとなった。 (3)(1)、(2)の結果および今般の感染症の状況を踏まえ、本研究の具体的な計画の再検討を行った。調査対象を一部限局したうえで親介護に直面する労働者に焦点を当てながら調査実施に向けての準備を行った。また、企業の産業保健担当者、自治体や高齢者施設の担当者および実際に家族介護を担う労働者らと研究テーマに関する協議を行い、研究体制の構築を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当該年度に親介護経験を有する労働者へのインタビュー調査などの開始を予定していたが、感染症再流行の影響を受け、計画の再検討やそれに関連した資料収集および文献検討による調査項目の吟味や整理、調査実施体制の再整備に時間を要し、年度内の実施に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今般の感染対策の状況およびその長期化を見据え、研究計画を再興したうえで、感染の流行状況を把握しやすい地域を対象とし、遠隔調査の手法を用いた実施方策を早急に整備する予定である。再策定し、焦点化した研究計画のもと、現状に応じた運用を進め、予定していた親介護経験を有する労働者などへのインタビュー調査等を実施し、労働者の親介護実態および支援ニーズや課題の明確化を進める予定である。
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Causes of Carryover |
実施時期に変更が生じた調査の遂行に関する物品、調査補助にかかる人件費として使用する。
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