写真療法が軽度から中等度の認知症高齢者のQOLに及ぼす効果に関する研究

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K10626
• Research Institution: Aichi Medical University
• Principal Investigator: 荻野 朋子 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (40241210)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 臼井 キミカ 人間環境大学, 看護学部, 教授 (10281271) ; 増田 雄太 修文大学, 看護学部, 助教 (60646264)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 認知症 / 写真療法 / 自律神経

Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、軽度から中等度の認知症高齢者に自らがデジタルカメラで写真撮影をする行動を含む写真活動を実施し，活動中の自律神経の変動から心理状態を明らかにし，写真活動が認知症高齢者の心身の状態およびQOLに及ぼす効果を明らかにすることである。
第1段階は，認知症のない健康高齢者を対象に実施し，第2段階は認知症高齢者を対象に実施する計画とした。
平成30年度は，グループホームへの入所者を対象に，1回60分の写真活動（写真撮影し、印刷する写真を選択し，その写真でアルバムを作り，発表を行う）を週1回合計8回実施した。研究デザインは、シングルケース研究法とし、基礎水準期4週間、操作導入期（介入）8週間、追跡期4週間で構成する。収集データは，「認知症高齢者の健康関連QOL尺度」「意欲評価」「認知症行動傷害尺度（DBD）」を用いた評価，介入中の本人へのインタビューと観察記録とした。加えて自律神経バランスと揺らぎを定量的に捉えるために，指尖脈波測定を各回の開始前、介入中、終了後の合計3回行った。指尖脈波の測定と評価は，雄山ら（カオテック研究所）が開発した，指尖脈波測定赤外線センサーと脈波測定ソフトを用い，算出される自律神経バランス（ANB），最大リアプノフ指数（LLE）をデータとした。平成30年度は３施設にて合計11人を対象に介入を行った。そのうち７人のデータ収集が終了し解析中である。参加高齢者の脈波から算出された自律神経バランス（ANB），最大リアプノフ指数（LLE）値の介入前，中，後に変化を認める事例を確認した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成30年度は、第1段階の健康高齢者に実施しデータ収集を行う計画であった。しかし，研究協力機関への協力依頼の後、研究参加者の募集へと進むが、研究参加希望者のスケジュールと研究者のスケジュールの調整ができず、実施の延期をした。平成30年度は，同時に第２段階の研究の準備として研究候補施設への協力依頼を進めていたため、施設の準備が整い次第、第２段階の研究をスタートした。

Strategy for Future Research Activity

2019年度は、先行した認知症高齢者の研究データ収集の継続およびデータ分析を行う。健康高齢者を対象にした研究については、研究協力機関への協力依頼の後、研究参加者の再募集を行い、スケジュール調整の後実施する。また2019年度は学会発表，論文執筆の準備を行う予定である。

Causes of Carryover

平成30年度は第1段階の健康高齢者への実施ができなかったため，2019年度に実施する。そのため，2019年度に研究協力者への謝礼等に使用する予定である。また，平成30年度に収集したデータの分析，音声データのテープ起こし，分析及び結果に対する専門家による知識提供のため，学会発表の準備および交通費等に使用する予定である。なお，2019年度も介入研究が続くため，インクやコラージュ用品などの写真療法に必要な消耗品の購入を引き続き行う。