2019 Fiscal Year Research-status Report
感染症パンデミック発生時に国際援助を担う看護職の教育プログラム開発
Project/Area Number |
18K10640
|
Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
松永 早苗 宮城大学, 看護学群(部), 講師 (30614581)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 美和 宮城大学, 看護学群(部), 教授 (10803976)
押谷 仁 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80419994)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | パンデミック / 援助 / 看護職 / 教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
グローバル社会を物語るように、2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認されて以降、中国を中心に新型コロナウイルス感染症が国際的に広がった。世界保健機関(WHO)は、2020年1月30日、新型コロナウイルス感染症について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した。新型コロナウイルス感染症は、限局した地区を超え、パンデミックを起こしている。本研究の課題は、「感染症パンデミック発生時に国際援助を担う看護職の教育プログラム開発」であったが、「国際援助」に限らず国内での援助にも活かせることが分かった。 研究第1段階は、2014年に西アフリカでのエボラ出血熱パンデミックの援助を担った医療職にインタビューを行い、看護職に必要となる能力を明らかにした。感染症パンデミックの経験を有する医療職から、教育プログラムに有用な具体的な内容を聴取した。 研究第2段階として、研究第1段階で明らかになった能力を基に「感染症パンデミック発生時に国際援助を担う看護職に必要となる教育プログラム」を作成している。作成した教育プログラムは、感染症の専門家から意見を得て、修正を加えいく。 研究の第3段階として、開発したプログラムをパンデミック発生時に国際援助を担う看護職へ実践し、プログラムの追加や修正を行う予定である。本研究の意義は、感染症を専門とする看護職に教育を行うことで、国内外を問わずに感染対策を実践できる人材を育成することである。育成した人材は、国内外で発生しうる新興・再興感染症の対策を担い、国民へ質の高い感染対策を提供することができる。 2020年度新型コロナウイルス感染症がパンデミックとなり、研究第1段階で得た結果を再度見直し、「国際援助」に限らず「パンデミック時に援助を担う看護職」へ任務を担う前に行う教育プログラムの作成を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在まで「感染症パンデミック時に国際援助を担う看護職に求められる能力」を2014年に西アフリカで発生したエボラ出血熱の事例を基に分析を行い、教育プログラム試案を作成してきた。そんな中、世界保健機関(WHO)は、2020年1月30日、新型コロナウイルス感染症について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した。新型コロナウイルス感染症が日本国内にも広がり、「国際援助を担う」看護職に限定せず、本教育プログラムを使用するべき状況になった。そのため、研究第1段階で明らかにしていた「感染症パンデミック時に国際援助を担う看護職に求められる能力」の分析を再度見直し、「パンデミック時に援助を担う看護職の困難やその困難への対処」を明らかにしていく。それらより、研究第2段階の教育プログラム試案を作成し、専門家の意見を聴取し、プログラムの開発を目指す。 2019年度には教育プログラムを開発し、2020年度に実践を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の国内発生に伴い、データの見直しを含めプログラム作成が遅延している。しかしながら、感染症の収束のめどが立たない今、今後も未知の感染症対策として教育プログラムを急ぎ作成していく必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究第1段階のデータを、「パンデミック時に援助を担う看護職の困難やその困難への対処」の視点から再度分析する。明らかにした結果から、研究第2段階の教育プログラム試案を作成し、専門家の意見を聴取し、プログラム開発を目指す。教育プログラムには、パンデミックの状況がイメージできるよう、研究対象者の語りから視覚教材を作成する。2020年度早期に教育プログラムを開発することを目指し、2020年度内には教育プログラムの実践を行いたい。感染症の収束のめどが立たない今、今後も未知の感染症対策として教育プログラムを継続的に活用できると考える。 2020年度には、世界で起こる新型コロナウイルス感染症ならびに今後起こりうる未知の感染症対策として活用できるよう、関連する学会に英文投稿することを目指す。
|
Causes of Carryover |
当該年度には、研究第1段階を論文として関連学会へ英語にて投稿するため、その予算を計上していた。また、研究第2段階である教育プログラムのために視聴覚教材を作成しようと考えていた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴い、研究第1段階のデータを再度分析し、その後に教育プログラムを作成することへと変更した。もう一度研究第1段階のデータを分析することにより、国内における感染症拡大の経験も加え、有事の際に看護職に起こりうる事態を想定し、援助に向かう前に事前に準備ができるような教育プログラムの開発へとつながる。 よって、当該年度に使用できなかった助成金を、翌年度分に追加して計上する。
|