2021 Fiscal Year Research-status Report
保健師による5歳児健康診断実施の条件-ヘルスアセスメントの活用-
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18K10642
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
山口 忍 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (30289871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤星 琴美 大分県立看護科学大学, 看護学部, 教授 (80300490)
綾部 明江 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (10316127)
鶴見 三代子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 講師 (10646855)
沼口 知恵子 常磐大学, 看護学部, 准教授 (50381421)
斉藤 瑛梨 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (60899631)
中島 富志子 日本保健医療大学, 保健医療学部看護学科, 講師 (90767344)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 5歳児健康診査 / 健康支援 / 発達の評価 / 保健師 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の5歳児健康診査は法整備されていないため自治体判断で「5歳児健診・相談」を実施しておりその現状は明らかではない。昨今、発達障害をもつ児の増加や、社会の変化による保護者の育児困難の増加など、不健康な状況にある子どもたちの増加が推測される。健康診査では、病気の診断・治療を目的とはせず、健康と異常の判断をし早期に医療機関につなぐこと、生活での改善を目指すことが目的である。本調査は、5歳児健康診査の全国での実施率や現在抱えている課題を把握し、5歳児の健康支援実施にむけて必要な事柄と、実現可能性について検討するための基礎資料としたいと考え、特別区と政令指定都市を省く全国市町村保健センター1741件を対象とし2021年度質問紙調査を実施。回収809件回収率46.5%。 「5歳児全員を対象とした5歳児健康診査の実施」123件(15.2%)、「定期的な5歳児健康相談の実施」82件(10.1%)、「特定の項目検査の実施」28件(3.5%)、「不定期の5歳児健康相談の実施」13件(1.6%)。5歳児健康診査で健康度を最終判断をしている職種は、「保健師」145件、次いで「臨床心理士」85件、「小児科医」45件のであった。保健師が発達の正常を判断する方法は、「厚生労働省通知の乳幼児に対する健康診査の実施についての実施要綱に沿って実施」「各県で作成した診察項目を使用して独自に作成」「SDQ」「医師会が作成した項目」であった。5歳児以降の健康支援では、心身の発達評価に主眼をおいて保健師・臨床心理士等のパラメディカルでの実施の可能性を検討する必要がある。また、各自治体により発達の評価が異なっており全国での評価方法の統一を図る必要がある。本結果は、6th International Conference of Global Network of Publich HealthNursingで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では、全国での5歳児健康診査の実施状況を調査で把握した後、その翌年評価方法についての詳細をさらに把握すること、また保健師の評価結果と他者の評価結果を比較して、保健師の発達評価の方法についての要件を提示する予定であった。調査結果からは、5歳児健康診査で健康度を最終判断をしている職種は、「保健師」145件、次いで「臨床心理士」85件であった。このことから「臨床心理士」の判断基準と「保健師」の判断基準の相違を明示する必要がある。しかしコロナの影響で、健康診断の方法が変更になり、定例の乳幼児健康診査の回数が減少したり、一度の受診者数を減少したりなどの対応の変更に保健センターは追われている現状がある。そのような時期に、インタビューや情報収集、調査依頼等は困難であると筆者は判断し、評価の詳細についての情報収集や保健師と臨床心理士の判断基準の相違点などを明示する研究に着手できていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
健康診査の医学的な最終判断は医師であることから、当初の計画では、保健師の判断と医師の判断の違いを検証し、その結果から保健師が正常を判断するために必要な要件を導くことを予定していた。本研究の共同機関として考えていた隣接の付属病院は障害者対応の病院であることから外部者が入りづらいため今回の研究では断念することとした。今年度は最終年度になるため、近郊市町村での評価方法について詳細を把握し、そこから考えられる保健師の発達評価方法と保健師の能力について調査を実施する予定である。その結果から、保健師が行うヘルスアセスメントに必要な要件を示すことができると考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により変更となった。
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