2019 Fiscal Year Research-status Report
せん妄患者に対する理解と看護のあり方に関する実践プログラムの開発
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18K10655
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
山内 典子 東京女子医科大学, 看護学部, 臨床講師 (10517436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 美恵子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10171802)
小泉 雅子 東京女子医科大学, 看護学部, 准教授 (20727606)
安田 妙子 東京女子医科大学, 看護学部, 臨床講師 (50382429)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | せん妄 / 高齢患者 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、集積したデータに基づき、せん妄を発症した5名の高齢患者と患者の看護に携わる看護師16名(1名の患者に対して2~6名)とのあいだで営まれた看護の場面と語られたエピソードについて、Bennerの解釈学的現象学に基づいた手法を手がかりに分析と解釈を行い、その結果を考察し、論文にまとめた。 概要として、患者の疾患は、心疾患が3名、脳疾患が1名、関節疾患が1名であった。せん妄の発症期間は10~35日間で、平均日数は14.2日間であった。また、分析と解釈の結果、《無視と無関心に閉じ込められる》《今を満たしともに解放に向かう》《知覚と行為の土台》という3つの意味(コアテーマ)と、これらに属する15の意味(テーマ)が見いだされ、せん妄を発症した患者と看護師のあいだのケアの成り立ちが構造化された。看護師は、患者の身体に“落ち着きのなさ”を知覚した時は、同時に“危なさ”を感じ、《無視と無関心に閉じ込められる》行為をし、両者に不穏さが生じていた。また、看護師は、患者の身体に“危うい今への閉じ込めと不確かさ”を感じとった時には、《今を満たしともに解放に向かう》行為をし、両者に穏やかさがもたらされていた。これらの行為は、個々の看護師の経験や育った病棟やチームの文化といった時間的な構造をもつ〈過去の経験と文化〉と、せん妄の患者に関わるそのときに余裕があるかどうかといった状況を表す〈患者に関わる余裕〉の2つのテーマからからなる《知覚と行為の土台》に基礎づいていた。また、看護師はインタビューを通して《語りをとおした視野の広がりと実践の意味の更新》を行っていたことが明らかになった。 ここに含まれない2名の患者については、データ収集はしていたものの、せん妄の発症期間が短かかったことにより対象外としていた。しかし、上記の分析と解釈の結果から、これらを含むことにより、さらに深まる考察が可能と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進展しているが、分析と解釈のできていない2事例があり、継続して取り組みを進める必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中にまとめた論文を臨床の看護師と共有し、意見をもらうとともに、看護学会で公表し、看護の学術誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
研究結果の公表および結果の確認の学習会に必要な費用を計上した。
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