2020 Fiscal Year Research-status Report
せん妄患者に対する理解と看護のあり方に関する実践プログラムの開発
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18K10655
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
山内 典子 東京女子医科大学, 看護学部, 臨床講師 (10517436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 美恵子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10171802)
小泉 雅子 東京女子医科大学, 看護学部, 准教授 (20727606)
安田 妙子 東京女子医科大学, 看護学部, 臨床講師 (50382429)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | せん妄 / 高齢患者 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に明らかにした研究結果について、第40回日本看護科学学会学術集会においてポスター発表を行なった。見いだされたテーマは以下のとおりであった。 せん妄患者と看護師のあいだには、《無視と無関心に閉じ込められる》、《今を満たしともに解放に向かう》《知覚と行為の土台》のコアテーマとこれらに属する15のテーマが見いだされ、そのケアの成り立ちが構造化された。《無視と無関心に閉じ込められる》行為は、〈“危ない”患者を制する〉、〈無視と無関心があいだを隔てる〉から成り立っていた。《今を満たしともに解放に向かう》行為は、〈馴染みのない身辺への了解を試みる〉、〈戸惑う身体に見通しをつける〉、〈習慣化した身体を阻まない〉、〈気がかりへの納得にたどり着く〉、〈気移りと不安定さに安定感を補う〉〈奇妙な夢と現実を区別し実存を捉える〉、〈不快さを察知しつつ快で満たす〉、〈不自由な身体からの脱出をともに図る〉、〈自他の反応からケアを探る〉、〈伝えようにも伝わらない苦しみに応答し続ける〉、〈現実に向かう身体に回復をみる〉により構成された。この2つのコアテーマは、《知覚と行為の土台》に基づき、これは看護師の〈過去の経験と文化〉と〈患者に関わる余裕〉から構成されていた。 これらの結果から看護師がせん妄の患者の身体に“今、ここ”の世界内存在の混乱を感じとるかにより、なされる行為がケアとして成り立つのか否かが決定されることが示唆された。せん妄のケアには患者が経験している“不確かさ”が映しだされるからこそ、看護師が自身の感覚を反省的に感じとり、“確かさ”の手ごたえをもつことが重要となると考える。 これらの結果を学会や研修、講義等で臨床の看護師と共有し各々の経験と重なるというフィードバックを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19感染患者のケアに携わる医療者のメンタル相談が増え、研究に費やす時間の確保が十分にできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に論文としてまとめて投稿予定である。
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Causes of Carryover |
【残額の理由】前年度始めより研究施設でcovid-19感染症患者の受け入れが開始され、covid-19専門病棟をはじめ、集団感染が生じた部署でのメンタル不調者が増えた。研究者は、元々看護職者のメンタル相談を業務としており、その面談や産業医との職場調整を優先した。結果として、研究時間を確保できず、本年度に持ち越して投稿に向けた論文作成を行なうことになった。 【使用計画】年内に研究結果の1部を1つの学会で発表であり、年内に2つの論文を投稿予定である。そのための資金とする。
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