2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of the mid-long term support model for the displaced mothers with children after the nuclear power plant disaster
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18K10656
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
内木 美恵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (50712543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守田 美奈子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50288065)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原発災害 / 強制移動 / 母親 |
Outline of Annual Research Achievements |
目標1「母親の発災8年~10年後の移動先での体験に基づき支援ニーズを明らかにする」について、2019年度は取り組んだ。発災からこれまでに出された文献検討を行った。その結果、発災5年後(2016年)以降の研究は少なく数件であった。これらの研究は、強制的に避難させられた者だけではなく、自主避難の者も含まれていた。母親は、子どもの健康に関して以前ほど強くはないが、放射線に関する影響を気にしていた。また、子どものいじめなどへの不安は減少していた。居住地に関しては、避難した地域に留まることを選択している者が多かった。文献検討の結果を2020年度に発表していく。これらの先行研究には避難を強いられた母親のみを対象にした研究は見られなかった。研究代表者自身の研究で明らかにしていく必要がある。 2019年度は、強制的に避難をさせられた母親たちを集めて行う交流会を3月に予定していた。この交流会で、対象者を集めて関係性を構築し、これまでの避難生活または新たな居住地での生活について語って頂こうと計画をしていた。しかし、COVID-19のパンデミックにより、中止せざるをえなくなった。 交流会を行うために一部の母親にインフォーマルインタビューを行った。先行文献には見られなかった内容として以下のようなものがあった。避難した地域での定住を前提に、子供のみ住所を居住地へ変更しようとしていた。しかし、夫または母親自身の住所は移動せずに避難前のものにしておきたいと話した。また、避難前は2世代、3世代の家族で生活していたが、定住先では別々に住居を持っていた。一方で、仕事を見つける、移動先の地域住民と気兼ねなく交流する、地域の催し物に積極的に参加するなど、移動した地域に順応して生活をしている者もいた。これらは、ごく一部であるが、この内容と文献で得た内容をインタビューガイドとする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年5月に家族に不幸があり、看病、葬儀などの対応に追われた。そのため、前期は、全く手が付けられなかった。この間に行おうとしていた交流会に向けての準備が全くできず、秋へとずれ込むこととなった。秋には、インフォーマルインタビューを行い、交流会を2020年3月に実施するために、知人やインフォーマルインタビューに協力してくださった方を通じて、日程、内容、メンバーなどの調整を行い始めた。同時に文献検討も行い、震災後の福島原発事故による被災者の母親たちに関してまとめ始めた。しかし、2020年1月に入り中国でCOVID-19感染がニュースになり、世界的に猛威を振るい始め、日本へも感染が拡大することが予測され、学内での対応に追われ、研究が中断することとなった。2月下旬には日本での感染者が連日見られるようになり、その時点で母親たちの交流会を中止することとなった。以上から、2019年度に行うことを予定していた交流会を実施することが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、交流会を実施したい。2019年度の計画では、福島のいわき市あたりで公民館などを借りて、対面で交流会を行う予定であった。人数は母親10人から20人程度で、子どもを含めると25人から35人位を予定していた。しかし、COVID-19のパンデミックにおける日本での収束がいつかは不明である。また、このような交流会はCOVID-19の感染対策からいうと、3密を避けることは難しく、感染機会となりやすく、2019年度の予定通りに出来るか不透明である。 現在のところ、2020年10月までに集団での会合を持つことが可能になれば、2019年度の予定通りに実施するよう準備を進め、2021年2月くらいには実施したいと考える。また、COVID-19感染症が収束しないようであれば、webでの交流会を検討する。これにあたっては、相手側のPCまたはスマートフォンなどの端末の確認、同期型通信手段に関するソフトの購入の準備をしながら行う。 インタビューに関しては、対面で是非行いたい。Webでのデータ収集には表情などクリアに見えないところがあり、限界があるためである。しかし、COVID-19感染症が下火になっても警戒が必要なときには、webでの方法も検討する。Webでの実施をするときには、相手の端末と話す場所、ソフトの安全性、プライバシー保護など再度、確認と点検をしながら進める。 文献検討の結果に関しては、2019年度にまとめたものを論文として作成し、2020年度、学会で発表していく。
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Causes of Carryover |
2019年5月に家族の不幸があり、看病やその後の対応等で前期に行う予定だった交流会の準備が秋にずれ込んだ。後期には、交流会の2020年3月実施へ向けて日程、内容、メンバー等の調整や文献検討を重ねていたが、2020年1月以降COVID-19の感染拡大により学内対応に追われ、3月の交流会はじめ研究を中断せざるを得ず、そのため次年度繰越金が発生した。 2020年度は交流会を実施する予定である。交流会を実施する場合は、対面とwebでの開催を検討する。対面の場合は、旅費、会場使用料、通信費、お茶代、子どもの世話をする看護師の交通費およびアルバイト代、謝礼が必要である。また、母親からチェルノブイリ原発事故で避難した母親の体験が聞きたいという要望があれば、これに関する旅費、宿泊費、通訳料などが必要である。webで交流会を行う場合は、webカメラとマイクの貸し出し、現地で数人が集まる場合は貸し出し用ノートパソコン、集音型マイクが必要である。インタビューを行うため、対面とwebの双方で検討しており、COVID-19の収束・拡大状況に応じて、上記に挙げた機材を活用する。 2020年度は、COVID-19感染症のため在宅勤務となっている。よって、福島県に在住する人などとwebでの連絡を取るため、モバイルwifiをレンタルして実施する。
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