2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of the mid-long term support model for the displaced mothers with children after the nuclear power plant disaster
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18K10656
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
内木 美恵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50712543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守田 美奈子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (50288065)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 福島第一原発事故災害 / 強制移動 / 母親 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、新型コロナウイルス感染症が2023年5月8日に5類感染症へと移行したが、社会的には、感染に関して敏感になっており、特に子どもを持つ母親に関しては、他者との接触に注意をしていることが分かったため、これまで通り、感染予防対策をしながら、計画を進めることとした。 先ず、原発事故により避難を強いられた市町村での、帰還困難区域を有する町の保健師等への住民への生活状況に関するインタビューについては、対象としている町では、福島復興再生 特別措置法(平成24年法律第25号)に基づく特定復興再生拠点区域の避難指示が、2023年3月31日に解除され、また、予防接種が高齢者等には継続されており、保健師がその対応に追われていた。そのため、インタビューはできなかった。 次に、「目標1:母親の発災8~10年後の移動先での体験に基づき支援ニーズを明らかにする」に関するインタビューについてである。インタビューを行うために交流会を開催する依頼をしていたが、母親たちは、新型コロナウイルス感染に対して恐怖があり、大人数かつ対面で会うことは避けたいと言われ、交流会は実施できなかった。Web会議システムを使用して数人に、研究についての説明を行った。参加者の中には、子どもが卒業、入学と重なるものが多く、3月、4月でのインタビューは避けたいと話されており、現在、回答待ちである。この先も、知り合いから母親を紹介して頂くなどして募集を行い、インタビューを進めていく。 また、原発事故災害で広域避難を経験した地域の母親達へのインタビューとして、チェルノブイリ原発事故による被害を受けたベラルーシに行くことを検討したが、ロシアのウクライナ侵攻による紛争は収まらず、訪問できなかった。周辺諸国で避難者を受け入れた国で、支援を行ったことのある団体を探している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度の春に、新型コロナウイルス感染症が5類感染症となり、自身が所属する大学でのコロナ対策基準が廃止され、移動の制限はなくなった。しかし、研究対象者である子どもを持つ母親たちは、まだ、新型コロナウイルスへの感染に恐怖を持っており、大人数かつ対面で会うことを受け入れなかった。加えて、大学では、新型コロナウイルス感染症前の講義に戻す一方で、Webも併用することとなり、授業準備に追われたため、研究時間を確保することが難しかった。 「目標1:母親の発災8~10年後の移動先での体験に基づき支援ニーズを明らかにする」に関するインタビューは、交流会を企画したが、研究対象者から感染を理由に参加を断られ、中止とした。知り合いから紹介があった母親に連絡をし、研究に関する説明を行うことにしている。この先も便宜的サンプリングで参加者の募集を行う。 帰還困難区域を有する町への訪問に関しては、対象の町に連絡をしていたが、新型コロナウイルス感染症の予防接種関連業務、特定復興再生拠点区域の業務で多忙であり、日程が調整できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
「目標1:母親の発災8~10年後の移動先での体験に基づき支援ニーズを明らかにする」に関するインタビューについては、インタビューを9月までに実施し、11月までに分析、結果の記述、考察と進める。できれば、学会での発表を行いたい。母親のインタビューは、便宜的サンプリングにより、対象者を募る。秋を目標にインタビューを実施する。可能であれば、交流会を実施して、対象者を募集する。対面でのインタビューができない場合は、Web会議システムで行う。Web会議システムで行う時には、研究参加者の希望に沿って、 PC、Wi-Fi、Webカメラなどを貸し出す。 「目標2:母親の体験を分析し、支援ニーズを明らかにし支援モデルの検討を行う」に関しては、インタビュー結果をもとに、12月以降に支援モデルの検討に関する研究会を開催する。メンバーは災害看護を実践とする看護師、助産師6-7名に参加依頼する。 また、可能であれば、帰還困難区域を有する町を訪問して、住民への生活状況に関するインタビューについても、保健師へインタビューをしたいが、難しければ役場職員に現状などをインタビューし、まとめて海外の学会誌に投稿を行いたい。加えて原発事故災害で広域避難を経験した地域の母親達へのインタビューを試みる。チェルノブイリ原発事故による被害を受けたベラルーシが有力な対象国であるが、ロシアのウクライナ侵攻による紛争の状況下では難しいため、周辺諸国で避難者を受け入れた国に住む母親を探し、インタビューを行いたい。
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Causes of Carryover |
2023年度は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へと移行したが、社会的には感染に関して敏感になっていた。子どもを持つ母親の交流会を打診したが、大人数、対面で交流することは受け入れてもらえなかった。Webでの交流会も提案したが、コロナ前の活動に戻す過程があり、多忙を理由に集まらなかった。インタビューに関しては、説明をすることの了承までは得たが、学校の卒業、入学の時期に重なり実施に至っていない。 2024年度は、母親へのインタビューを対面で行う。対面の場合は母親が希望する場所で行い、個室の確保が難しい場合はホテルの一室等で行う。どうしても対面が難しければWeb会議システムを使用する。Webで行う場合は、PC、Wi-Fi、Webカメラの貸し出しを行う。インタビューデータを分析しまとめて、学会で発表する。その後、インタビューの結果をまとめ、災害看護の専門家等を集め、研究会を開催し、支援システム構築をおこなう。可能であれば、帰還困難区域を有する町を訪問して現状をまとめる。加えて、チェルノブイリ原発事故での被害を受けたベラルーシ等でデータ収集を行い、まとめて学会で報告する。 費用として、Web会議システム機器の貸し出し輸送費、対面インタビュー、インタビュー参加者への謝品等謝金、インタビュー会議室賃貸料等、データ整理の委託費等、ベラルーシ訪問旅費、その他研究遂行に係る費用や消耗品費等を予定。
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