2020 Fiscal Year Research-status Report
地域高齢者の互助共助育成のための家庭外共食プログラムの開発と介入検証
Project/Area Number |
18K10657
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
山之井 麻衣 東京医療保健大学, 医療保健学部, 講師 (10538151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 律江 横浜市立大学, 国際教養学部(都市学系), 准教授 (00397085)
阿部 桃子 東京医療保健大学, 医療保健学部, 教授 (80347195)
谷口 新 横浜市立大学, 都市社会文化研究科, 客員研究員 (40445185)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 共食 / 高齢者 / GIS / マルチレベル分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)家庭外共食の実態のパイロットスタディ 都市部在住の65歳以上のおよそ60名からの協力が得られ、家庭外共食の指標となる高齢者の家庭外共食に関連したライフスタイル、健康観などとともに、質問紙の骨子と大規模調査に向け、また家庭外共食プログラムの実施・評価場所の選定を行った。高齢者の家庭外共食に関連したライフスタイルを「主観的暮らしゆとり」「主観的健康観」の2軸で整理され、各ライフスタイルにおける家庭外共食の場が把握された。このうち、外食以外の余暇あるいは地域での役割や居場所等に分類される家庭外共食の実態把握をするため、①先進的取り組みをする家庭外共食、②高齢者の家庭外共食(大規模調査)の2点に焦点化、このうち20年度では19年度から継続して収集したデータ①について調査と分析を実施した。 2)先進的取り組みをする家庭外共食の実態把握 研究者の先行研究では、家賃や人件費といった経済的な課題が把握されている。それらの課題に対し先進的に取り組む家庭外共食の実態を質問紙とGISを用いて分析した。経済基盤の安定化を図るために既存の制度(介護保険法通所型サービスB)が活用されていた。利用高齢者の主観的QOL(5段階)や生活への変化(10段階)を測定したところ、主観的QOLは利用により身体的健康4.1、精神的健康4.3、人生への受け止め4.0、人生のコントロール感4.1、社会的互助関係3.8、地域の住みやすさ4.2と全体的なQOLが高い傾向に見られた(尺度のモデル適合度の参考指標:調整済みR2 0.9(p<.00))。社会的互助関係の指標が最も低値であるため、人との関係性にやや課題があるが継続的に通所している状況が考えられた。家庭外共食の先進事業は数年の運用であるため継続性が求められるが、効果評価指標が未整備のため、頻度等の数字で評価されており、事業存続に困難感を持っていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでデータ収集やデータ整理に遅れが出ていたが、データとりまとめを一部外部委託し、当初の計画に軌道修正することが出来たため、概ね順調に進展をしている。 新型コロナウイルス感染症蔓延により、調査先の延期や中止など対面でのデータ収集が出来ていなかったが、調査方法も感染リスクを低減した方法に変更し、インターネットを利用した質問紙の修正を加えた。変更にあたり、倫理的な配慮と調査対象者となる高齢者の特性を研究者間で議論し、研究目的を踏まえて2020年度は再整備したことで、2021年度研究活動の推進につなげることが出来た。また、新型コロナウイルス前後の比較実態調査を追加し、計画修正を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、22年までに大きく3段階のステップを計画しており、これまで1つの課題と残る課題の一部が着手されている。具体的には、課題1として高齢者の行動圏域と家庭外共食の実態把握を20年度までに取り組んできた。次いで、課題2として高齢者の行動圏域と家庭外共食指標の解明と分析を20年度は先進事例を用いてGISで分析の一部を進めている。22年度は、その分析の継続を進めながらGISでの行動圏域分析を進め、最終段階である課題3として共食を強化促進プログラム開発と効果検証を行い、プログラム開発への示唆を得ることを目指している。プログラムの骨子は、既に20年度の先進事例をもとに、ガリバーマップの方法論を援用した素案がまとめられているため、22年度では高齢者の身体的配慮を踏まえた開発を行う計画である。また新型コロナウイルス感染症によりその前とその後の行動圏域の変化が想定されるため、高齢者の家庭外共食(大規模調査)を実施(調査は一部外部委託)し、最終年度である22年度の報告書の作成と公表を目指す計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症蔓延に伴い、調査方法を変更した。また感染症に伴い本研究における全業務のエフォート率が大幅に低下してしまったこと、人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」の制定があり、調査計画自体も遅延していたためである。また、調査データの整理などの一部を情報保護を嵩じたうえで外部委託し、計画的かつ効果的な調査の推進を進めるために委託費や物品購入などの配分が高まった。その結果、大幅に遅延していた計画も順調に進めることが出来ている。21年度は、ICTを活用した大規模調査(外部委託)、学会参画はリモートで行う予定である。
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