2018 Fiscal Year Research-status Report
認知バイアス効果を応用した子どもの健康格差介入プログラム開発
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18K10660
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
高橋 佐和子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (80584987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 純子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (10436959)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 家庭教育 / 健康格差 / プログラム開発 / エンテーテイメント・エデュケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、家庭教育力を底上げし、子どもの健康格差を解消するため、小学校入学前の子どもを持つ保護者を対象に基本的生活習慣の確立に関する動画を中心とした情報提供パッケージを開発することを目的としている。 3年計画の初年度である本年度は、動画プログラム作成のため、保育園やこども園6箇所で、エンターテイメント・エデュケーションを活用したプログラムによる講演活動を実施した。講演後、対象の保護者にアンケート調査を実施し、園の担当者から聞き取り調査を行った。保護者アンケートでは、プログラムの評価を目的に、影響評価や企画評価に関する各質問に「1思わない」から「4かなり思う」の4段階で回答を得た。その結果、「学んだことが実践できそうだと思う」に、「4かなり思う」と回答した者は90%以上、「面白かった、また参加したい」に、「かなり思う」と回答した者は98%以上であった。自由記述としては、「今までの講座とは違った」、「おもしろい講演で最初から最後まで楽しく聞くことができ参考になった」等の回答を得た。本プログラムは、一定の評価を得られたものと考えており、来年度は、これを元にした動画作成をする予定である。 また、本年度は、すごろく教材の開発にも取り組んだ。これは、保育士らからの聞き取り調査の中で、保護者同士のネットワークづくりの必要さが語られたことが契機となっている。保護者同士を短時間で安全につなげるネットワークづくりには、お互いに顔を合わせた場面での対話が必要であると考え、直接対面する場で使用できる教材としてすごろく教材の開発に取り組んだ。本教材では、子育てに関するよくある事象を取り入れ、各マスに止まるごとにその内容を読み上げ、お互いの経験を語りあうことができるように設計した。公衆衛生看護学会のワークショップで、保健師の方々にすごろく教材を体験していただいたところ、高評価を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年計画のうちの初年度である2018年度は、インターネット動画プログラムと動画視聴に誘導するシステムのβ版作成を目指していたが、動画プログラム作成、誘導システムのいずれも遅れが生じている。 動画プログラムについては、作成のための調査の過程において、保護者間のネットワーキングの重要性が浮かび上がってきたため、プログラムには、動画のみでなく、講演等の直接顔をあわせることができる場で使用する教材も必要と考え、すごろく教材の作成にも着手することとした。すごろくの作成のために、専門職等からの情報収集や作図デザイン、テストプレイ等の過程を要したため、動画の完成が遅れた。しかし、作成したすごろくは、保健師等が集まる学会のワークショップでテストプレイを行なったところ、高評価を得ることができた。 誘導システムについては、構想及び実施対象の保育園等への説明はほぼ終えている。インセンティブとして、カプセルトイの導入を決めたものの、トイの選定や設置場所および運営等の詳細について、保育園等との調整に時間がかかり、完成には至っていない。しかし、最後の詰めの段階に入っている。 2019年度中には、動画を含めたプログラムのベータ版の完成に合わせて動画視聴に導入するシステムもパイロットスタディの段階に入ることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度前半のうちに、動画を含めたプログラムと動画視聴への誘導システムのβ版を完成させ、2019年度後半には、パイロットスタディを実施する予定である。動画と誘導システムのいずれも、β版完成の最終段階となっており、当初の研究計画の通り、2019年度中にパイロットスタディにも着手できるものと考えている。 動画プログラムの作成については、保護者同士を短時間で安全につなげるネットワークづくりの重要性が今回の調査の中で明らかになったことから作成したすごろく教材と組み合わせたプログラムにすることを考えている。この変更に伴い、動画の内容や方向性に修正が生じる可能性もあるが、教育プログラム開発経験が豊富な連携研究者である荒木田美香子に助言を得つつ進めることで、これ以上の遅れは避けられるものと考える。 誘導システムの開発では、トイの選定や設置場所および運営等について、保育園等との調整を進めているところである。研究協力者であるA市役所職員に協力を依頼し、保育園等の意向を確認することで、導入に向け、進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
初年度に予定していた動画作成の時期を次年度にしたため、動画の編集に使用するパソコンや動画撮影にかかる経費も次年度に繰り越すこととした。動画撮影および編集は、2019年度前半に行う予定であるため、この時期に経費を使用する考えである。
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Research Products
(3 results)