2019 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病網膜症患者に対して眼底出血を生じさせない新しい運動指針の確立
Project/Area Number |
18K10674
|
Research Institution | Tohto University |
Principal Investigator |
河江 敏広 東都大学, 幕張ヒューマンケア学部, 講師 (00598948)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関川 清一 広島大学, 医系科学研究科(保), 准教授 (30363055)
野村 卓生 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 教授 (30423479)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 糖尿病 / 運動療法 / 網膜症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は糖尿病網膜症患者に対する安全な運動療法を提供するため研究Aおよび研究Bの2つの研究から構成されている。 研究A:身体活動強度が糖尿病網膜症の重症度に及ぼす影響を明らかにすることを目的としており、研究Aにおいては概ね順調に進行しており、現在、50例程度の症例を登録している。最長、1年程度観察可能な症例は2例であり、この症例においては単純網膜症を有していおり、日常生活中に高強度となるイベントも存在する月も有するが、網膜症の重症化は認めていない。また、その他の症例においても追跡期間はまだ短期ではあるが重症化は認めていない。そのため、現時点においては単純網膜症における、身体活動量と運動強度が網膜症の重症化に関与しないことが推察される。しかしながら重症網膜症を有する場合は網膜内の血管の破綻をきたしやすいことが予測されるため、高強度の運動が持続することにより重症化を来すことも推察される。そのため、次年度ではこの点に着目して研究を進行していく。 また、研究Bは運動強度および運動様式が眼圧および眼底血流に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。眼底血流の測定についてはまず、ハンドグリップ運動を用いて実施した。その結果、中強度運動、高強度運動においては血圧の上昇は認められるものの、運動中有意な血流増加には至らなかった。しかしながら、バルサルバ運動を伴うことで両施行共に過度な血圧上昇を伴う、眼底血流の増加を認めた。そのため、運動時においては眼圧の上昇を伴うため、バルサルバ運動は指導上禁忌とされているが、眼底血流の観点からも血流増加を来すためバルサルバ運動を控えるべきという新しい知見を得ることができた。本研究は次年度以降、糖尿病患者を対象に測定を行っていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年より糖尿病患者の測定を計画していたが、新型コロナウイルス感染症の拡大により測定が中止となった。そのため、本研究Bの糖尿病患者に対する眼底血流測定がまだ、1症例のみしか実施できていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
十分な感染対策を行い、測定を開始する。また、現在、協力施設は1施設のみであるが、施設数を増やし登録症例数を増加させていく。
|
Causes of Carryover |
糖尿病患者に対する眼底血流測定が実施できていないため、余剰予算が生じた。そのため、次年度の測定時に必要機器を借用し測定を行う。
|