2018 Fiscal Year Research-status Report
Early load training and neuro rehabilitation by a robot after lower limbs amputation
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18K10675
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
木村 浩彰 広島大学, 病院(医), 教授 (60363074)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 医療用ロボット / neurorehabilitation / 下肢切断 / HAL |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は医療用ロボットを用いて下肢切断側に運動意図に基づいた正確な歩行運動を繰り返すneurorehabilitationの有用性と医療経済学的効果を検討することである。 事故により下腿切断となった一症例に対して、事故後の再手術前より医療用ロボット(Hybrid Assistive Limb:HAL)による歩行練習の説明と電極貼付位置を決定した。手術後、仮義足完成までHALを用いたneurorehabilitationを行った。下腿切断翌日より、通常のリハに加えてHALを用いた歩行練習を1回約30分、週3-5回の頻度で実施した。歩行練習中は転倒防止の為、免荷機能付き歩行器オールインワン(Ropox A/S社製)を併用した。再手術前と仮義足完成時に筋力を徒手筋力計(μ- tus. F-1 アニマ社製)を用いて測定、HAL使用開始時、仮義足作成前、仮義足での初歩行時、退院前に10m歩行時間と歩行動画撮影を、再手術前、仮義足完成前、退院前にADL・QOLの指標としてWHODAS2.0とEuro-Qol-5D-5Lを測定した。 HALを用いた歩行練習は合計42回で、総歩行距離は25470mであった。筋力は全て向上し、10m歩行時間はHAL装着下で32.31秒(31歩)、ロフストランド杖片手把持で23.27秒(25歩)、フリーハンドで8.28秒(16歩)であった。WHODAS2.0はそれぞれ100点,108点,80点、Euro-Qol-5D-5Lは0.328、0.521、0.848となった。 下肢切断術によって最も障害を受けるのは歩行であり、早期から歩行リハを行うことによってスムーズかつ早期に義足歩行を獲得することができた。また、廃用予防とQOLの維持改善にも効果的であったと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
医療用ロボットであるHALをレンタルで入手し、外傷による下腿切断例であるが、手術前からHALによる歩行訓練を開始し、手術直後からHALによる歩行訓練を再開できた。若い男性の外傷による下腿切断なので、下腿義足によって歩行可能となる可能性は大であるが、最先端のリハを受けられているという自己効力感もあり、下腿義足を使用して元の生活に戻ることができた。今後、高齢者や大腿切断例にも症例を拡大し、歩行機能とQOLを評価する。 ただし、臨床研究の法律が変わり、研究倫理の厳密さが要求され、症例を増やすことが容易ではない。医療ロボットは医療保険でも使用されており、対象は筋ジストロフィーなどの難病である。下肢切断は対象外であるが、医療保険上の安全性は担保されている。それでも対象を変更することで倫理を承認されない。このことだけに半年以上を費やしており、研究が速やかに進行しないことの問題となっている。 血行障害による下肢切断は日本だけでなく世界的な問題であり、歩行能力を高めるロボット装具は新しいリハで日本発である。歩行できる下肢切断者が増えることで、相対的に切断者にかかる社会保障費が減少すると予想され、医療用ロボットの効果的な使用方法として注目すべきと考える。倫理申請に集中するとともに、症例のリクルートを整形外科と協同して行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
下肢切断者に医療用ロボットHALを適応するため、適応外でHALを使用する倫理申請が滞っている。臨床研究に関する法改正があったため不運であったが、書類はほぼ完成している。倫理申請が承諾されることを前提に、下肢切断患者をリクルートする。今回の症例を通して、術前からの介入は比較的容易であり、通常のHAL使用と変わらない。また、下肢切断手術時にHALを制御するための電極を添付する場所を決めておくことで、術後すぐに歩行訓練を再開できる。 当科は元々整形外科から分派しており、整形外科とは非常に懇意にされている。下肢切断者の福音となるため、下肢切断が決まった方々に対して、広島大学病院へ転院をお願いし、医療用HALを用いた周術期リハを開始できるよう、各整形外科同門の医師に依頼する予定である。 評価方法として身体機能やQOLを測定しているが、医療経済学的な所見(医療費や義足費用など)も集めていく予定である。
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Causes of Carryover |
臨床研究倫理申請が滞っており、申請に必要な費用約50万円が未使用になっている。また、下肢切断者を長期評価するため当院に来ていただくための費用(人件費、謝礼)を計上しているが、倫理申請が未承認のため症例を増やすことができない。 次年度から医療倫理を申請するための費用約50万円を計上する。また、研究倫理が承認された後から下肢切断患者に対してロボットHALによるneurorehabilitationを行う。下肢切断者なので、経過観察に移動支援が必要となるので、移動のための交通費や研究協力費を計上する。
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Research Products
(2 results)