2019 Fiscal Year Research-status Report
歩行中の方向転換課題における認知症者の予期的姿勢制御障害に関する研究
Project/Area Number |
18K10681
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
星 文彦 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (40165535)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知症 / 歩行中方向転換 / 反応時間 / MMSE |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年に引き続き、協力介護老人保健施設に入所中の認知症者20名を対象に、約四ヶ月の間隔をおいて、歩行中方向転換反応時間と対象課題として、1.MMSE、2.TUG、3.BBS、4.歩行速度の各データ計測を3回行った。なお、本来4回計測を計画していたが、年度末の新コロナウイルス感染の問題が生じ、計測が実施できなかった。歩行中方向転換反応時間は、約10mの歩行路で自由歩行を行い、歩行中にアットランダムなタイミングで、右あるいは左方向へ90度向きを変えて歩行を続ける課題で、フットスィッチにより発信される方向転換指示提示から指示方向への頭部回転運動開始までの時間を計測した。 20名中、3回のデータ計測ができた11名を対象に経時的変化を比較した。平均値での経時的3回計測結果は、頭部反応時間;523.0msec:523.0msec:54.3.5msec、MMSE;22.9:20.7:21.7、TUG;13.1sec:13.4sec:13.3sec、BBS;47.5:46.9:46.8、歩行速度;0.85m/min:0.93m/min:0.93m/minで、頭部反応時間やMMSEは若干低下傾向があるものの、各計測項目すべてで明らかな低下を示す統計的な経時的変化は認められなかった。 対象者は、介護老人保健施設に入所中で、施設内での機能訓練及び日常生活における生活支援を受けており、運動機能や認知機能へのアプローチがなされていることから、病態の大きな変化が起きていないことがうかがわれた。一方、全対象者における各計測項目間の相関性を見てみると、頭部反応時間とMMS、TUGには相関性が示唆され、特に頭部反応時間とMMSEとは、R=-0.6(p<0.01)で明らかな負の相関があることが認められている。この結果から歩行中の二次課題に対する反応時間(情報処理時間)と認知機能との関連性が示唆されたと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度後半の新型コロナウイルス感染の問題が発生し、協力施設での計測が不可能ととなったため、4回目の計測ができなかった。また、対象者の退所や対象者の追加など対象継続データ数が不安定になる傾向があり、安定した対象者の確保が難しい状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、対象者の継続計測を実施するが、新型コロナウイルス感染問題が収束するかどうかにより、研究推進の展開が変化すると思われる。
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Causes of Carryover |
4回目計測のための旅費が、新型コロナウイルス感染問題が生じたため、計測ができなかったことによりデータ計測旅費が残金となった。次年度の計測旅費に充てることとした。
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