2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of a novel method of regenerative therapy on tissues associated with locomotion using M.leprae-induced stem cells and Schwann cells
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18K10693
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
真先 敏弘 帝京科学大学, 医学教育センター, 教授 (00585028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 史明 帝京大学, 医学部, 准教授 (40286993)
前島 洋 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (60314746)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シュワン細胞 / 創傷治癒 / 間葉系幹細胞 / 再生治療 / 運動器 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下のように昨年度はマウスシュワン細胞移植に先立ち、マウスシュワン細胞一次培養方法の改善に関わる成果が挙げることができた。 ①マウスシュワン細胞純化のためのMACS(magnetic sorting)の再検討:以前から行っているシュワン細胞表面マーカーNGFR(p75)を利用したMACS(magnetic sorting)によるシュワン細胞の純化であるが、以前から使用していたpolyclonal anti-p75(Millipore, AB1554)が販売中止となったため、この方法に使用しうる新たな抗体を捜さざるを得ない状況となった。その結果、Anti-p75 NGFR(MLR2, ab61425, Abcam)において99%以上のシュワン細胞の収率を認め、この抗体がMACSによるシュワン細胞純化に使用可能であることが分かった。(ただし下記のように残念ながら、この抗体も販売中止となり、結局、過去に凍結保存していたマウスシュワン細胞を移植実験に用いる結果となった。) ②マウスシュワン細胞蛍光標識:移植前のシュワン細胞蛍光標識としてPKH26を用いたところ、色素導入7日目までは99%以上の細胞に蛍光を検出できた(10日目以降は徐々に蛍光は消失した)。したがってこの蛍光標識にうより少なくとも移植1週後までは移植細胞を蛍光により追跡できることが推定された。 ③皮膚損傷実験方法の確立:皮膚損傷実験に関しては、マウス背部の皮膚を5mm画の大きさに除去し、そこにマウスシュワン細胞100万個程度を移植、その上からBeriplast(フィブリン糊、CSLベーリング)で被覆した。手術後、マウスは問題なく長期生存し、皮膚も徐々に自然治癒することを確認した。すなわち、この実験がマウスにとって安全であり、皮膚再生の検討も問題なく実行できることを確認し、皮膚損傷実験系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
移植には大量のシュワン細胞一次培養細胞が必要となるため、できるだけマウスシュワン細胞を常に供給できる状態であることが望ましい。このため従来、シュワン細胞純化に使用していたMACS用のanti-p75抗体(Millipore)の販売が中止されたのは痛手であり、MACSに使用できる抗体を捜すことが必要となった。このため、以下の5種の抗体(Anti-p75 NGFR(MLR2, ab61425, Abcam), CD271 monoclonal antibody (ME20.4, eBIoscience), anti-p75 NGF receptor (ab52987, Abcam), anti-p75NTR(G3231, Promega), α-dystroglycan抗体(IIH6, アイオワ大学Kevin P Campbell教授より供与)を用いたMACSにより、マウス馬尾から取り出したシュワン細胞―線維芽細胞の混合よりシュワン細胞の純化を試みた。その結果、上記のようにAnti-p75 NGFR(MLR2, ab61425, Abcam)のみにおいてシュワン細胞の純化に成功した。ただし、その抗体がその後、販売中止になるという不運が重なり、これらの点が現在、研究の進行が遅れている最大の理由である。結局、MACSを使用してマウスシュワン細胞を供給し続けることは断念、従来凍結保存していたマウスシュワン細胞を使用することに決定した。これにより、移植実験の回数は限定されるが、本計画を遂行するに十分な量は現在、凍結保存されているシュワン細胞でまかなえるであろうと推定している。
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Strategy for Future Research Activity |
①培養シュワン細胞が分泌する成長因子の測定:培養シュワン細胞が分泌し、かつ創傷治癒に役割を果たしているであろう成長因子の測定であるが、候補であるVEGF, FGF, PDGF, TGF-beta, GM-CSFを含め30種の成長因子を同時に測定できるRayBio C-series mouse growth factor array 3の海外発注をしたところであり、到着次第、実験を開始し、これについては実験開始1週以内に結果を出すことが可能である。 ②皮膚損傷実験:上記のように皮膚損傷移植実験の方法を確立できたので、このマウスシュワン細胞の皮膚移植実験を今後1年程度、継続することにより、マウスシュワン細胞が皮膚再生における神経再生、血管再生を促進するかどうか、創傷治癒の初期段階としてのマクロファージの遊走を促進するかどうか、そして最終的に創傷治癒を促進するかどうか、といった点を検討しなんらかの結果を出したい。 ③マウスシュワン細胞のレンチウイルスによるGFP標識:移植後のマウスシュワン細胞を長期的に追跡するには上記のようにPKH26では不可能であるので、GFPでマウスシュワン細胞を半永久的に標識する必要がある。このため、GFP発現Vectorを含むレンチウイルスをすでに海外発注し、到着したところである。今後、このウイルスをマウスシュワン細胞に感染させ、できるだけ早期にGFP発現シュワン細胞を獲得したい。これも最短で成功すれば1-2か月で獲得できるはずである。GFP発現シュワン細胞を獲得でき次第、この細胞の長期移植効果についての検討を開始する。 ④その他の実験系の確立:本年度中に他の動物実験系(損傷末梢神経への移植、指損傷モデルへの移植)の方法を確立し、来年度、これらのモデルにおけるマウスシュワン細胞の移植効果の検討につなげていく予定である。
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Causes of Carryover |
進捗状況が遅れた理由の項に記載したように市販抗体の販売中止に伴い、マウスシュワン細胞一次培養方法の実行、特にmagnetic sortingの実行に問題が生じ、この問題を解決するために新たに数種類の抗体を購入し、それぞれがmagnetic sortingに適しているかどうかを検証する実験を行う必要が生じた。この検証に半年以上の期間を要し、その後の移植実験やマウスシュワン細胞の分泌する成長因子の測定などの実験計画を遂行する時期をやや遅らせざるを得なかった。このため、これらの実験に用いる物品費が次年度に持ち越しになったため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(1 results)