2018 Fiscal Year Research-status Report
立位能力と下腿筋量に焦点を当てたフレイルの客観的評価と理学療法介入時期の検討
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18K10705
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
稲岡 プレイアデス千春 金沢大学, 保健学系, 助教 (90507386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
淺井 仁 金沢大学, 保健学系, 教授 (50167871)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フレイル / 立位バランス / 筋厚 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、高齢者を対象にして、手すり付き床反力計を用いて立位バランス能力を客観的に評価し、ヒラメ筋筋厚、TUG及び10m歩行との関連性を検討する実験を行った。今回はヒラメ筋の筋厚が小さいほど歩行速度が遅く、足圧中心動揺は増大し、手すりにかかる力も増大すると仮定した。立位の足圧中心動揺を5つの条件でランダムな順番に測定した。5つの条件とは、(A)開眼、両脚立位+手すり支持あり、(B)閉眼、両脚立位+手すり支持あり、(C)開眼、両脚立位+手すり支持なし、(D)閉眼、両脚立位+手すり支持なし、(E)開眼、片脚立位+手すり支持ありとした。各条件につき2回ずつ測定し、平均値を個人の代表値とした。各条件の立位保持時間は30秒間とした。被験者の疲労に応じて条件間に休憩を設けた。足圧中心動揺の測定は手すりを設置した床反力計を用い、手すりにかかる力の測定には手すり3分力測定システムを用いた。超音波測定装置によりヒラメ筋の筋厚値を画像上で読み取った。筋厚値を3回測定し、平均値を代表値として算出した。これを個人の身長で除して標準化した。 足圧中心動揺の総軌跡長は、両脚立位時よりも片脚立位時の方が有意に大きかった。各条件を比較すると、足圧中心動揺の総軌跡長は(E)条件が最も大きく、(A)条件が最も小さく、両者間に有意差が認められた。手すりにかかる3方向の力は、両脚立位(A,B)よりも(E)片脚立位の方が有意に大きかった。これらは、片脚立位時では支持基底面が小さく、安定性が低下するためと考える。また、(C)と(D)にも足圧中心動揺の総軌跡長の差が認められた。それは視覚的情報が遮断されたことにより安定性が低下したと考える。今回、筋厚値は歩行速度、足圧中心動揺や手すりにかかった力と相関は認められなかった。今後の6カ月毎の測定によって、測定項目結果の変化による相関も検討していくことが望ましい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度には予備実験を行い、実験方法に必要な微調整を行い本実験の測定を開始した。今後は参加者らのドロップアウトを想定し、被験者数を増やしながらデータ収集と解析を続けることが望ましい。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はデータ収集と解析を続き、6か月毎に被験者らのデータ収集を行う。①高齢者を対象にして毎回、健常者群、プレフレイル群、フレイル群、に再分類し、立位保持能力、下腿筋厚を2年間定期的に測定する。そして各群、特にフレイル群における筋厚および立位姿勢安定性の客観的なデータを明確にし、これらのデータと身体活動量、およびバランススケールとの関係を明らかにする。②そして、これらのデータをもとにプレフレイル若しくはフレイルと判定された方々に対して適切な時期に適切な理学療法を行うことができるようになるものと確信する。例えばプレフレイル群からフレイル群というように群を移行した方々の測定値の変化率をもとに、理学療法介入の客観的なタイミングと適切な介入内容とを明らかにする。
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Causes of Carryover |
(理由)当初計画していた学会参加が他業務により参加できなくなったことにより、情報収集用の旅費を使用しなかった。また、当初計画していた謝金の支払いを次年度から開始することとなったことにより、次年度使用額が生じた。 (使用計画)使用計画については2019年5月10日~13日に開催されるジュネーブの理学療法国際学会(WCPT)の参加旅費及び学会参加費及び被験者データ収集を依頼するための謝金等に充てる予定である。
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