2019 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞後の痙縮出現と脳幹網様体での恒常的シナプス可塑性変化の関係についての研究
Project/Area Number |
18K10706
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
李 佐知子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (80599316)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 恒常性シナプス可塑性 / マンガン造影MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1として、脳梗塞後痙縮発症マウスの延髄網様体神経細胞における活動性の変化は恒常的シナプス可塑性と関連するか確認するために実験1:損傷皮質-網様体路のシナプス終末における恒常的シナプス可塑性、実験2:非損傷側脊髄前角に投射する網様体神経細胞の後シナプスにおける恒常的シナプス可塑性、実験3:非損傷側脊髄前角に投射する網様体神経細胞の含有神経伝達物質および活動性変化。現在、実験1の解析を行っており、損傷を受けた皮質錐体細胞から延髄網様体に投射するシナプス終末の恒常的可塑性を観察するためにBDAを損傷予定皮質に注入し、損傷14日後の延髄網様体における興奮性シナプス強度をGluA1および2を用いて観察した。GluA2では非損傷側延髄網様体のMdV 領域でBDA標識終末とシナプス形成したGluA2の受容体面積が増加する傾向が見られたが、GluA1ではGluA2と同様の染色条件で良好な染色像が得られなかったため、前シナプスマーカーとしてVGluT1(Vesicular Glutamate Transporter 1)を用いて観察する予定である。また、今後は他の延髄網様体神経核(GiA、GiV、Gi)における発現変化を観察する予定である。実験2および3については、今後実施予定である。 研究2は、脳梗塞後痙縮発症マウスを用い、痙縮発症に関連する脳領域を解明するためにマンガン造影MRIを用いた神経活動の観察研究である。現状としては、絶対値評価を行えるT1値を用いて解析するために、T1値計測用のパラメーター、撮像画像およびT1mapの作成の検討を終えた。マウスの体温測定および維持がT1値に大きく影響することがわかったため、早急に対応し、影響の有無について確認をとるようにする。マウス脳アトラスとのマッピングのためのT2強調画像のパラメーターの決定およびマンガン投与量の確認等を現在検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究1について、三重染色の条件の統一が難しく、一次・二次抗体検討、抗原不活化検討が非常に時間がかかってしまった。GluA2については、おおよそ検討できているが、GluA1についてはPSD95との相性がわるく、VGluT1によって補完する方向で検討しており、遅れを取り戻す計画をしている。 研究2について、最適なT1値撮像パラメータの検討に時間を要したが、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1については、染色条件の検討が困難をきたしたが、他の抗体などを検討して総合的な解釈に基づいて結果を導きだせるように対応する。また研究2についても、パラメーター決定ができたので、撮像を行ってデータ取得を進める。
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