2020 Fiscal Year Research-status Report
脳梗塞後の痙縮出現と脳幹網様体での恒常的シナプス可塑性変化の関係についての研究
Project/Area Number |
18K10706
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
李 佐知子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 准教授 (80599316)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 恒常的可塑的変化 / 痙縮 / マンガン造影MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1 マウス脳梗塞後の脳幹網様体神経細胞の活動性亢進は 恒常的シナプス可塑性に関連するか、恒常的シナプス可塑性に関連する分子の発現 変化を検討する。2 脳梗塞後の脳幹神経細胞の活動性亢進と痙縮出現は関連するか、 マンガン造影MRI撮像を用い、経時的な脳幹網様体領域の神経活動変化と痙縮の出現 の相関を検討することである。1 に関して、脳梗塞の非損傷側の延髄網様体腹側核 (medullary reticular formation ventral part: MdV) へ投射する皮質網様体路の残存シナプスにおける恒常的可塑的変化を確認した。損傷後3~7日の脳梗塞群で前シナプスを標識したvGluT1の数や面積が有意にコントロール群と比較して減少した。また同じ期間でシナプス形成部位におけるAMPA受容体の構成サブユニットであるGluA1の集積がコントロール群と比較して脳梗塞群で有意に増加した。さらに損傷後14日ではGluA2の集積がコントロール群と比較して脳梗塞群で有意に増加へと変化する様子が観察された。このことから、痙縮を確認した脳梗塞群では前シナプスの発現減少から神経回路入力の減弱を示した。非損傷側 MdVでは脳梗塞後早期にGluA1が集積増加し、その後GluA2が集積増加するという二相性の恒常的可塑的変化を示した。次に2の実験について、脳梗塞モデルにおいて塩化マンガンを投与し、7, 14, 28日後にMRIの撮像を行なった。さらに、塩化マンガン投与直後に痙縮を誘発する目的でHoffman反射を誘発した実験も行い、すべてのMRI撮像を終えた。現在はその解析を実施しており、近日中に結果がわかる状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Covid-19により当初予定していたMRIの利用ができなくなったが、他施設でMRIを利用することができ、当初の計画していた実験はすべて実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
実験計画2において、計画していた実験はすべて実施できた。今後は解析を行う予定。
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Causes of Carryover |
計画していた実験機器の利用ができなくなったため、実験が中断した。2021年1月より他機関で実験が再開できた。当該助成金は中断による実施できなかった実験に使用する予定である。
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