2018 Fiscal Year Research-status Report
運動トレーニングによる一次運動野V層細胞のシナプス強化メカニズム解明
Project/Area Number |
18K10710
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
木田 裕之 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (70432739)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | シナプス可塑性 / 運動学習 / ラット / AMPA受容体 / GABA |
Outline of Annual Research Achievements |
一次運動野(M1)II/III層において、運動トレーニング後のAMPA受容体やGABA受容体を介したシナプス可塑性は、運動学習メカニズムの背景と考えられている(Kida et al., 2016)。しかし、皮質脊髄路の起源となるV層錐体細胞でのシナプス可塑性はよく分かっていない。本研究ではこの点を明らかにするために、運動学習課題としてローターロッドテスト(1日10試行)を行い、V層細胞のニューロン活動の変化およびAMPA受容体量の変化を調べた。 まず、運動学習における局所的なグルタミン酸伝達の役割を調べるためにAMPA受容体の阻害薬CNQX, NMDA受容体の阻害薬APV,コントロールとしてDMSOをV層に局所投与した。DMSO群と比較して、CNQXおよびAPVを投与した群では、運動スコアが有意に低下した。次に、非学習群、トレーニング1日群、トレーニング2日群の3群から一次運動野Ⅴ層からサンプルを採取し、ウエスタンブロッティングによってAMPA受容体サブユニットGluA1の発現量を調べた。シナプトソーム解析の結果、トレーニング2日目の学習後にAMPA受容体の数が有意に増加していることが確認された。最後に、シナプスレベルでの可塑性をパッチクランプ法によって検討した。微小抑制性シナプス後電流(mIPSC)の頻度は非学習群と比較してトレーニング1日後のみ有意に低下した。一方、微小興奮性シナプス後電流(mEPSC)の振幅・頻度は非学習群と比較してトレーニング2日後に有意に上昇した。 これらの結果は、運動トレーニング後のV層細胞ではII/III層とは異なる様式のシナプス可塑性が引き起こされることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パッチクランプ実験の結果、V層のシナプス可塑性の様式が明らかとなった。またウエスタンブロッティングの結果、V層ではII/III層と異なり、運動学習2日目でシナプス部におけるAMPA受容体の増加が観察された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は逆行性トレーサーを線条体および脊髄に投与することによって投射経路の異なる運動野、V層細胞記録を行う予定である(予備実験実施済み)。
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Causes of Carryover |
本年度の実験に変更はなかったが、当初予定していた実験試薬(逆行性トレーサー)の変更により、1,268,636円の未使用額が生じた。この未使用額については平成31年度の実験試薬の購入に当てる。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] FABP3 in the Anterior Cingulate Cortex Modulates the Methylation Status of the Glutamic Acid Decarboxylase67 Promoter Region.2018
Author(s)
Yamamoto Y, Kida H, Kagawa Y, Yasumoto Y, Miyazaki H, Islam A, Ogata M, Yanagawa Y, Mitsushima D, Fukunaga K, Owada Y.
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Journal Title
J Neurosci.
Volume: 38(49)
Pages: 10411-10423.
Peer Reviewed
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