2019 Fiscal Year Research-status Report
神経変性疾患に伴う構音・統語機能障害の経時的評価と介入に関する研究
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18K10720
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
菅野 倫子 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 准教授 (60316627)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 発話分析 / 文産生障害 / 統語理解障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、原発性進行性失語症(PPA)における音韻・統語機能障害について、発話の面から非PPA認知症例および局所的脳損傷例との違いを明らかにすることである。初年度は、第1に、神経変性疾患が疑われる対象例の認知・言語機能について、これまでの症例を後方視的に分析し、言語機能障害を呈した症例を明らかにした。第2に、進行性失語症例の文産生機能の障害特徴を明らかにするために、状況画の文産生検査を実施し、統語機能障害を呈する例と呈さない例が存在すること、神経変性疾患における統語機能障害例においては、文構造の狭小化が生じることを示し、発表の機会を得た。今後症例を増やして検討を重ねる予定である。第3に、健常例の発話分析を一部実施し、発話における統語構造の出現率と特徴を示した。同様の分析を神経変性疾患例および局所脳損傷例に実施することにより、健常者の発話との違いを比較していく予定である。 2年目は個別ケースの症状検討を積み重ね、学会発表の機会を得た。発話分析について、先行研究を系統的に分析することにより、これまでの言語聴覚療法領域の分析手法の改善を試みた。さらに、計量国語学的視点からテキスト分析の手法に関して調査し、研修を受けてデータ解析方法に活用した。また、成果の一部について学会発表の機会を得た。構音機能については、機器操作の技術的習熟を図っており、妥当なデータ取得方法を検討中である。分析対象データとしては、韻律面および構音面からの後方視的分析を中心とし、症例の全体像をとらえるための発話分析データの補助資料として、症例ごとの詳細な構音評価結果を収集中である。初年度および2年度に学会発表した日本語話者の原発性進行性失語症例の統語機能について論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度および1昨年度発表内容について、データを加えての論文作成を試みていたが、新たな対象者の開拓に時間を要していた。加えて、春季休暇期間中のCOVID-19の影響によりデータ収集は控えている。対策として、後方視的データの再調査を行ってデータを再開拓し、収集を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
データ収集を継続するが、COVID-19の影響はあるため、取得済みデータの後方視的分析も視野に入れてデータをそろえ、早急に終了する予定である。取得したデータの基礎的解析については、形態素解析ソフトを用いて一旦自動的に解析し、その後再分析を行うことで、時間を短縮し、効率化を図っていく。先行研究の系統的分類を継続するとともに、既存発表資料については、論文投稿を進めていく。
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Causes of Carryover |
分析アルバイトを雇う予定であったが、適当な人材がいなかったことと、分析方法自体を検討することとにしたため、自己で分析を行う方が適当と判断したことにより、アルバイト代は現時点では発生していない。 また、論文投稿における英文添削費用への充当、および録音機器の追加購入と、感染予防対策のためのアクリルシート等の購入も検討する。
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