2022 Fiscal Year Research-status Report
神経変性疾患に伴う構音・統語機能障害の経時的評価と介入に関する研究
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18K10720
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
菅野 倫子 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 准教授 (60316627)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 発話分析 / 失語症 / 統語機能障害 / 言語聴覚療法 / 原発性進行性失語症 / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度において、神経変性疾患が疑われる対象例の認知・言語機能の後方視的分析を行った。また原発性進行性失語症例に状況画の文産生検査を実施し、統語機能障害を呈する例と呈さない例が存在すること、神経変性疾患における統語機能障害例において文構造の狭小化が生じることを示し、発表の機会を得た。さらに健常例の発話分析を一部実施し、発話における統語構造の出現率と特徴を示した。 2年目においては、個別ケースの症状検討を積み重ね、学会発表の機会を得た。発話分析について、先行研究を系統的に分析することにより、これまでの言語聴覚療法領域の分析手法の改善を試みた。さらに、計量国語学的視点からテキスト分析の手法に関して調査し、研修を受けてデータ解析方法に活用した。また、成果の一部について学会発表の機会を得た。 3年目以降は、COVID-19の影響が長引き、新規データの取得数を重ねることが困難であった。その中でも、第1に、後方視データの収集を実施し、解析を進め、失語症の文の障害に関する先行研究調査を継続し、一部を雑誌論文として投稿した。また、日本語の失語症例および進行性失語疑い例における発話分析方法について、海外および本邦のこれまでの先行研究を踏まえつつ、妥当な発話分析方法に関する定期検討会を開催した。分析方法を可視化し、試行的分析から、分析の手引き案を作成した。分析の手引き案についてはより一般化することを目的に、検討を継続している。試行的分析から得た結果について、学会発表を行った。統語機能障害の影響を明らかにするために、統語機能障害から生じる実生活上のコミュニケーション活動の制限について経時的変化を追うための評価シートの作成に関する検討班を立ち上げ、検討を継続している。原発性進行性失語および失語症におけるこれまでの文の統語機能障害に関する知見をまとめ、分担編集により書籍を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の影響が長引き、協力機関における新規データの取得が困難な時期が長く続いたが、一部計画を見直し、日本語の失語症例における発話分析方法について先行研究調査と再検討を行った。先行研究調査を系統的に行った点で時間を要した。また一部の成果を書籍に反映させる作業に時間を要した。また新規データの取得についても可能性を検討しており、進捗は遅れていた。COVID-19の影響が落ち着きつつあり、現状での成果をまとめると共に、新規データの取得と分析を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
協力施設との連携を進め、今後もできる限りのデータの収集を継続する。 既存の収集データの解析については、データ整理補助者の協力を得る予定となっており複数名で基礎的分析を進めていく。 評価シートとともに、素材となる状況画について修正を加え整備する予定である。 既存発表資料については、論文投稿準備を進めると共に、新規成果の発表準備を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響下において、参加を希望していた国際学会については渡航できなかったため、旅費が発生しなかった。 国内での学会発表参加について旅費の利用が生じ、今後も国内外の学会発表を目的とした参加費用が生じる予定である。 また、以前から用いていた語彙データベースが更新出版され、文における語彙の心像性を調べるために購入した。 今後、状況画の修正費用、データ分析補助者の費用、論文投稿費用が生じる予定である。
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