2019 Fiscal Year Research-status Report
発達障害に併存する視覚性認知機能障害の早期検出と実用性の研究
Project/Area Number |
18K10722
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
金子 真人 国士舘大学, 文学部, 教授 (40448923)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 立方体透視図模写 / 描き下し過程 / 視覚性認知機能 / 定性的評価法 / 視知覚分析 / 面構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目にあたる昨年度は、定型発達児4年生(62名)の描き下し過程のデータを収集するとともに、ことばの教室に通う児童(51名)の描き下し過程との比較検討を行った。 定型発達児である4年生のNCCの描き下し過程は、最初に面を構成した児童が36名、最初に面を構成しなかった児童が26名に分けられた。最初に面を構成した児童で第5期にあたる完遂した児童は21人、第4期以下の誤りを示した児童は15名であった。また、36名のうち22名(61%)が立方体の前面から描き始めていた。一方、最初に面を構成しなかった児童のなかで第5期の完遂にあたるものは7人であった。また描画過程の検討では9名(36%)が側面から構成しはじめ、また5名(20%)が上面から構成していた。この描き下し過程の特徴は視覚性認知機能の脆弱性を示唆する可能が考えられた。 さらに、ことばの教室に通う学習に遅れのある児童51名の描き下し過程の分析を行った。NCCの定性的採点による学年到達度と,最初に面を構成するか否かの描画過程が視知覚分析を測る指標になるのか検討した。学年到達度を基準とした「基準到達群」と「基準未到達群」,面構成の有無を基準とした「面構成あり群」と「面構成なし群」で線画同定課題の成績を基準ごとに比較した。その結果,基準到達群と基準未到達群の間で有意差を認めなかったが,面構成なし群は面構成あり群に比べ初発反応時間が有意に長かった。線画同定課題は視知覚分析を測ると考えられるが,面構成の有無により線画同定課題で相違を認めたことから,面構成なし群は視知覚分析の脆弱性を示唆し,NCCは描画過程を考慮することで視知覚分析の指標になると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナの影響を受け年度末および新年度に予定していた小学校の調査ができなくなった。このため新たに必要としている補足的データの収集が停滞している。特に、新1年生のデータが収集困難となり研究計画の変更が予測される。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナによる学校再開が遅れているために新たなデータ収集をお願いすることは困難な状況にある。大規模な調査が望めないために、ことばの教室の先生方に来室する児童のスクリーニング検査目的としての検査協力を依頼して少数ではあるが新たなデータを収集できれば予備的調査の役割を果たせる可能性がある。しかし、これもまだ未定である。
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Causes of Carryover |
年度末である2020年3月に予定していた小学校調査研究が新型コロナによる緊急事態宣言を受け中止となり余剰金が生じたため。
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Research Products
(4 results)