2022 Fiscal Year Annual Research Report
Research on early detection and practicality of visual cognitive dysfunction comorbid with developmental disorders
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18K10722
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
金子 真人 国士舘大学, 文学部, 教授 (40448923)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚認知 / CCT / 立方体透視図模写 / 視覚分析 / 注視時間 / 脳内表象 / 描画過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
CCT描画過程における視覚性認知能力を視知覚分析レベルと視覚認知レベルの処理過程に分割することの裏付けを検証するためにeye-tracking法を用いた。CCTの描画が未分化な児は、CCTの手本を注視する視知覚分析レベルの反応数が増大し、視覚認知レベルであるCCTの脳内表象が保たれた児は、手本を注視することが少ないと仮定できる。そのため通常のeye-tracking研究では注視時間の規準を100msec前後に設定する注視時間の定義をしっかりとした注視過程を規準とするために400msec以上の注視時間を「眼球運動の停滞」と判断規準を設定した。 解析は、反応用紙の上方のCCT手本と手本の描画領域である下方の2箇所への注視回数(400msec以上)を算出した。その結果、CCTが可能な対象児のeye-tracking法における注視回数と注視箇所は、上方への注視はほぼ1回のみでありモデルをみながらではなく完成した脳内表象を基にCCTを描画していることが明らかとなった。この描画過程は注視回数からCCTの脳内表象が完成している場合の描画方略であり、正常な視覚認知過程の処理方略であると判断された。 一方、CCT未完成群は、モデルへの注視回数が非常に多くCCTの脳内表象が未分化で上方と下方への注視回数が増加する傾向にあった。上方への注視回数の増加は、視覚認知過程の視覚分析から視覚認知過程への移行水準にあると考えられ、CCTの脳内表象が未分化であることを示唆した。同時に、脳内表象を獲得するまでの様々な視覚的方略が試行錯誤的に試みられ次第に正しいCCTの脳内表象が獲得されていく過程が推察された。 CCTの脳内表象が未分化な児は、CCTのモデルへ停留し注視回数が増えていくパタンと、上方モデルと下方の手元を相互に行き来するパタンと大きく2つの視覚認知処理過程にパタン化される傾向が認められた。
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