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2019 Fiscal Year Research-status Report

老化幹細胞ニッチにおける筋再生制御に関わる因子の同定

Research Project

Project/Area Number 18K10730
Research InstitutionKio University

Principal Investigator

祐實 泰子  畿央大学, 健康科学部, 講師 (80425454)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 今北 英高  畿央大学, 健康科学部, 教授 (00412148)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords筋の分化 / 筋の再生 / 幹細胞ニッチ / 細胞老化 / 初代細胞培養
Outline of Annual Research Achievements

サテライト細胞の性質を維持するために必要な Stem Cell Niche(幹細胞ニッチ)とは、様々な細胞外マトリックス(ECM)の成分と線維芽細胞やペリサイトなどの細胞群を含む微小環境のことである。この幹細胞ニッチは運動負荷や加齢によってその成分が変化する。運動負荷では、ECMの再構築およびサテライト細胞の集積がおこり、加齢ではECMの層が厚く密集し、サテライト細胞の喪失が生じる。ECMは骨格筋の発生、構造のサポート、収縮機能において不可欠な役割を持つ基質で、様々なタイプのコラーゲンやプロテオグリカン、糖タンパクなどで構成される。主にこれらの幹細胞ニッチのECM分子を合成・分泌するのが線維芽細胞であり、骨格筋の再生制御にも関わっている。これまで、多くの分子が骨格筋の再生修復制御に関与することが明らかになっているが、老化に伴う骨格筋の線維化や筋量の減少(サルコペニア)などの問題を解決するには至っていない。本研究では、老化した幹細胞ニッチにおいて、活性化された線維芽細胞がサテライト細胞の再生や筋芽細胞の増殖・分化に影響を与えていると予測し、老化した線維芽細胞と筋芽細胞の相互関係に関わる分子を探索、その機能の一端を明らかにし、筋細胞の再生制御に関わる新しいメカニズムを見出す可能を追求する。
2019年度は、新たに立案した横紋筋芽細胞C2C12の分化を蛍光顕微鏡下で簡単に評価できる方法に着手した。C2C12細胞に緑色蛍光タンパク質(GFP)及び赤色蛍光タンパク質(RFP)をそれぞれ恒常的に発現させることで、分化を誘導したC2C12細胞を蛍光顕微鏡下で可視化できる系を構築中あるが、まだ系の評価が終了していない。また、共同研究者との筋損傷ラットモデルに対する移植方法の検討も開始しており、超音波エコー装置を利用した評価が可能かどうか検討中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

昨年度構築した横紋筋芽細胞C2C12の分化誘導の系を利用して、線維芽細胞との共培養を開始したが、継代回数が増加したC2C12の分化誘導が安定せず、継代回数の少ないC2C12と同じ条件では顕微鏡で分化が判断できないことが明らかになった。その結果、再度分化条件の検討を余儀なくされ、新しく培養条件を見つけられたものの、昨年度の遅れを取り戻すには至らなかった。また、本年度実施した細胞の作成にはレトロウィルスによる遺伝子導入が必要であったため、新たに使用している細胞培養室をP2レベルの実験ができる様に整備を行った。大学内にP2レベルの培養室はあるが、利用する上での制限や、研究の安全性を高めるためも当初は計画していなかったが実施に至った。昨年度に引き続き、本年度も必要な機器を整備しながらの研究を実施となり、設備の準備等により実験の中断を余儀なくされた時期もあったが、結果的には研究環境が整い、現状では実験が安全にスムーズに実施できる様になっている。 ただ、教育等に費やす時間が初年度以上に増えてしまい、実験に従事する時間が十分に確保できない状況であった。

Strategy for Future Research Activity

2020年度は、横紋筋芽細胞C2C12に緑色蛍光タンパク質(GFP)及び赤色蛍光タンパク質(RFP)をそれぞれ恒常的に発現させることで、蛍光顕微鏡下でC2C12の分化が可視化、評価できる培養細胞の系を利用できる様にする。そして、昨年度までに構築した細胞老化と類似の不可逆的な増殖停止OIS(Oncogene-induced senescence)を起こすことができる細胞培養系と2種類(蛍光タンパク質を発現している細胞と発現していない細胞)のC2C12を用いて、相互関係に関わる分子の探索を可能にしていく。そして、昨年度実施できなかった、老化誘導した細胞がC2C12の分化にどのような影響を及ぼすのか検討する計画である。また、分化に影響を与える培養系が確立してすれば、老化誘導前後の細胞で、DNAマイクロアレイやメタボロームなどを利用して細胞の変化を網羅的に解析し、再生や分化制御に関わる分子を探索していく。
老化した線維芽細胞が筋の分化に影響を与えることが明らかになれば、細胞の免疫染色やウェスタンブロット等の方法を用いて、老化がどの様に筋の再生に影響を及ぼすのか検討し、解析を行う。

Causes of Carryover

研究代表者の配分額については、初年度に生じた未使用額と当該年度の研究費を合わせて、本研究に必要な備品や消耗品を購入し研究を進めたが、解析を予定していたDNAマイクロアレイやメタボロームの実施を2020年度に繰り越したため未使用額が生じた。分担研究者に配分した研究費では、分担研究者の用務繁多のため、予定していた学会参加を見合わせたこと、また担当分であるマウスの解析が2020年度に繰り越されたため未使用額が生じた。
最終年度は、次年度使用額を合わせて、助成金を研究遂行のため以下の様に使用する。次年度は解析を予定していたDNAマイクロアレイやメタボロームの実施、細胞培養、タンパク質の解析、遺伝子組み換え実験などにかなりの費用が見込まれる為、有効に活用する。分担研究者に配分する研究費も本研究遂行に必要な消耗品の購入や情報収集、マウスの実験に使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2020 2019

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Effects of appropriate-intensity treadmill exercise on skeletal muscle and respiratory functions in a rat model of emphysema2020

    • Author(s)
      IMAGITA Hidetaka、NISHII Yasue、FUJITA Naoto、SUKEDZANE Taiko、KAWATA Shinnosuke
    • Journal Title

      Biomedical Research

      Volume: 41 Pages: 13~22

    • DOI

      10.2220/biomedres.41.13

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 【Fasciaを考える-基礎から臨床応用まで-】Fasciaとは 各分野での捉え方 Fasciaとは 解剖生理学的意義の見地から2020

    • Author(s)
      今北 英高 , 祐實 泰子
    • Journal Title

      臨床スポーツ医学

      Volume: 37 Pages: 134-140

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 肺炎症モデルラットにおける分岐酸アミノ酸摂取の影響2019

    • Author(s)
      今北英高、峯和矢、西谷光優稀、奥野稜太、津守佑紀、村上博子、祐實泰子、峯松亮、西井康恵、森拓也
    • Organizer
      基礎理学療法学会
  • [Presentation] 瘢痕癒着モデルにおけるハイドロリリースの効果および新しいFasciaモデルの開発2019

    • Author(s)
      祐實泰子
    • Organizer
      2019年度JNOS研究助成制度 受賞者による指定演題
    • Invited

URL: 

Published: 2021-01-27  

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