2020 Fiscal Year Research-status Report
COPDの身体活動性向上における呼吸リハビリテーションとアイリシンの役割の検討
Project/Area Number |
18K10738
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
佐野 正明 秋田大学, 保健管理センター, 准教授 (30323140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩谷 隆信 秋田大学, 医学系研究科, 名誉教授 (90170852)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | COPD / 呼吸リハビリテーション / 身体活動性 / アイリシン |
Outline of Annual Research Achievements |
COPD死亡の最大の危険因子は身体活動レベルであるが,元々身体活動の乏しい COPD患者が,身体活動性を向上させることで,COPDの予後が改善するとの科学的根拠は示されていない.骨格筋由来のマイオカインであるアイリシンの血中濃度は,COPDの身体活動性と相関を示し,気腫化と強く逆相関し,タバコ煙による肺胞上皮細胞のアポトーシスがアイリシンにより抑制されることが報告された.本研究は,身体活動性の向上により,骨格筋由来アイリシンが増加することにより,COPDの予後が改善すると仮説し,身体活動性,アイリシン濃度に対する呼吸リハビリテーション(呼吸リハ)の及ぼす効果の検討を目的とする.市立秋田総合病院呼吸器内科に通院中の患者で研究を進めている. 研究分担者の塩谷は,男性COPD患者38名,健康な若年者15名,健康な高齢者15名で超音波検査を用いて,全肺気量(TLC),機能的残気量(FRC),残気量(RV)における横隔膜の厚さ(Tdi)を測定し,TdiTLCとTdiRVの変化率(ΔTdi%)を算出した。COPD患者は,健常者に比べTdiTLCとΔTdi%が有意に低下しており,TdiTLCとΔTdi%を指標とする横隔膜超音波検査はCOPDに伴う横隔膜機能障害を評価することができることを示した.(Clin Respir J,14(6),2020) また, COPD患者11名(年齢73±7歳,BMI 18.9±2.9)を対象とし, COPD患者の姿勢や動作の時間と全身性炎症の関係を検討した.歩行時間は,無脂肪体重指数(r=0.73)およびIL-8値(r=0.76)と有意に相関し,立位時間は、CRP値(r=0.80)およびIL-6値(r=0.74)と有意な相関があった.身体活動の増加が全身性の炎症の増加と関連していることを示した.(J Phys Ther Sci,32(12),2020)
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究はCOPD患者の身体活動性向上によるマイオカイン(アイリシン)の増加効果における呼吸リハビリテーションの有用性を検討するものである.昨年度の研究遅滞の問題点アイリシンの測定はめどが立ったのであるが,コロナ感染症の蔓延により,患者の受診控えや,患者受診間隔を長くする等の対応をとったため,患者受診機会が減ってしまい,同意の得られる検討に合致する症例を確保することができず,研究の進行が滞ってしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
対象患者のエントリーの遅れが研究の遅れになっている.患者のリストアップを推進し,共同研究者と連携し研究を促進する.
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の蔓延により,同意を得られる検討に合致する症例を確保することができず,検査に要する費用がかからなかったため,その分次年度の使用額が生じることになった.1年間の研究延長を承認していただいたので,次年度の登録患者の検査機器,検査費用,および業績発表等に使用する予定である.
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