2019 Fiscal Year Research-status Report
吃音の治療前後での脳の構造的・機能的接続の変化と病態の関係
Project/Area Number |
18K10741
|
Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
安 啓一 筑波技術大学, 産業技術学部, 講師 (70407352)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 吃音 / 脳機能 / 拡散テンソル画像 / 白質 / 角回 / 弓状束 / トラクトグラフィ / 音声 |
Outline of Annual Research Achievements |
発達性吃音は幼児期に約5%の割合で発症することばの非流暢性であり、約1%が成人しても残ると言われている(Guitar, 2014)。吃音の原因には遺伝的要因、環境要因等様々なものがあり、脳の発達的側面では、言語に関係する脳部位(ブローカ野)での機能的器質的な違いが吃音のある群ない群であることが知られている(Sommer, et al., 2002; Chang, et al, 2015)。また、吃音から回復した群と残存する群を比較すると、回復群では幼児期に脳梁等の体積に差があることがわかってきている(Chang, et al., 2018)。これまでに、脳機能構造測定として脳の白質(神経繊維)の接続を測定する拡散テンソル画像法にて角回白質部分の接続性が低下していることを報告している(Yasu, et al. , 2018)。本研究では吃音の介入前後で神経接続および機能的接続(デフォルトモードネットワーク)が変化するかどうかを明らかにする。2019年度は、耳鼻科医、言語聴覚士、臨床心理士との連携し、主に介入前の脳機能構造データ取得と解析を行った。安静時の脳活動測定から得られたデフォルトモードネットワークの測定データについては、介入前のデータ解析が完了した。吃音のワーキングメモリとの関係を示した論文を投稿し掲載された(Arongna, et al. 2020)。今後は介入後の追跡を見据えて心理実験データとの相関分析を進める。また、成人の吃音のある群を対象として、介入前後で脳機能構造に差があるのかを追跡的に分析する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、昨年度に引き続き脳機能構造測定として拡散テンソル画像法、デフォルトモードネットワーク測定を行いデータ収集を進めた。デフォルトモードネットワークの解析が完了し、相関部位と吃音症状の関係について解析を進めた。新規の吃音のある参加者のデータは十分に揃ったため、今後吃音の介入後のデータ取得を中心に実験を進める。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨今の感染症拡大の影響を受け、介入後の実験実施計画に修正が必要になった。吃音の介入前後での比較のためのデータ取得について連携先の国立障害者リハビリテーションセンター研究所と進める。これまでに解析が完了している脳の白質(主に角回)の接続低下およびデフォルトモードネットワークについての基礎的な知見を原著論文をはじめとする成果発表を目標とすることとする。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大により、参加予定の学会が中止になったため、当該分の金額の次年度使用料が生じた。そのため、次年度へと開催時期が延期された学会への参加および発表の際の旅費とすることを計画している。
|