2018 Fiscal Year Research-status Report
食事動作にはどの程度の上肢の関節可動域が必要か?関節制限モデルを用いた検討
Project/Area Number |
18K10750
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Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
千葉 登 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (30347926)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 食事動作 / 関節可動域 / 制限 / 筋活動 / クラスター分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は食事動作を個々の関節の運動として解析するだけでなく,肩関節,肘関節,前腕及び手関節を含む上肢全体の協調性を運動学的解析に加えてと各関節に関連する二関節筋群の筋活動を筋電図的解析にてその特徴を明らかにすることである.特に本研究の特徴として,関節固定装具を用いた“関節制限モデル”にて,上肢の一つ一つの関節可動域制限が他の関節にどのように影響し,最低限必要な可動域について明らかにすることである. 初めに,食事動作を頸部・体幹・骨盤・上肢関節の動きをクラスター分析を用いて類型化し,各動作パターンを明らかにすることを行った.対象は,右手で食事を行う学生30名(男性15名,女性15名)とし,課題はヨーグルトをスプーンですくって食べる動作とした.測定から得られた頸部・体幹・骨盤・上肢関節の最大角度・最大振幅をパラメータにクラスター分析をした結果,食事動作を(A~C群)の3群に分類することができた.A群は体幹が大きく屈曲することで,口元をスプーンへもっていく特徴がみられ,体幹前傾型,B群は,上肢を大きく動かすことによって,スプーンを口元へもっていく特徴がみられ,上肢型,C群は,すくう際に,スプーンを斜め上方から垂直にさす特徴がみられ,前腕型とした. 次に掌屈位・中間位・背屈位の手関節の関節制限スプリントを用いて手関節を固定し,食事動作時の手関節の関節可動域制限が他の上肢関節にどのように影響するのか,また,最低限必要な関節可動域について確認することを目的とした.対象は普段右手で食事を行い,上肢関節可動域等のない大学生10名とし,課題はヨーグルトをすくい,口まで運ぶ動作を行った.結果,手関節制限時の最低限必要な関節可動範囲は通常時より狭いということが分かった.ただし,手関節掌屈位制限時は他の関節での代償運動が見られ,中間位・背屈位制限時は代償運動等はなく食事動作を可能にしていた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の進捗状況は,やや遅れている状況である.その理由として,関節制限モデルで関節を固定装具で固定するモデルであったがその場合では筋電図測定のための筋の露出ができなくなり,筋電測定が不可能である状況にあった.そのため,オリジナルの関節固定装具の作成が必要となり時間を要している.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では健常人における上肢多関節の協調運動の特性の解明を行う前段として食事動作を特徴を頸部、体幹、上肢関節をクラスター分析を行い、そのパターンを分類した。その際に筋活動の側面から検討を行っていなかったため、筋電図解析も実施する. また,2019年度は肩関節、肘関節制限モデルによる食事動作については、オリジナル関節固定装具の作成を速やかに行い,筋電図測定が可能かどうか予備研究を行う.もし,複数関節の固定が困難な場合には,肩・肘の単関節固定にて動作分析を行う. 2020年度は加えて前腕回内外制限モデルでも同様に実施する.
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Causes of Carryover |
購入予定であった測定装置(クリニカルDTS)が当初の見積額よりも安価に購入できたことと被験者が無償のボランティアで行えたことにより未使用が生じた。 次年度は、データ測定・解析のための研究補助者を予定し、また、当初予定よりも被験者数を増やして行うこととする。また今年度の成果発表として、投稿論文の作成(2編)のための英文校閲や投稿費用として予定している.
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