2020 Fiscal Year Research-status Report
食事動作にはどの程度の上肢の関節可動域が必要か?関節制限モデルを用いた検討
Project/Area Number |
18K10750
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Research Institution | Yamagata Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
千葉 登 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 准教授 (30347926)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 食事動作 / 関節可動域 / 協調性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は掌屈位・中間位・背屈位の手関節の関節制限スプリントを用いて手関節を固定し,食事動作時の手関節の関節可動域制限が他の上肢関節にどのように影響するのか,また,最低限必要な関節可動域について確認することを目的とした. 対象は,食事を右手で行っている者,上肢に関節可動域制限のない者及び上肢に関節痛がない者とし,すべてに該当する,本学学生女性21歳~22歳の10名とした. 測定にはポータブル3次元動作解析装置(マイオモーションEM-M07)を用いた.課題はスプーンで器から対象物(ヨーグルト)をすくい,口まで運ぶ動作で,手関節が通常位,掌屈位,中間位,背屈位の4種類の方法で実施した.なお,通常位とは対象者が普段自由に行っている食事の仕方とした. その結果,食事動作中における通常位の上肢関節角度の変化において,対象物をスプーンですくう相は前腕回内から回外し,肘・肩の屈曲は口へ運ぶに連れ角度が大きくなる傾向が見られた.これらの傾向は制限時においても同様であった.また,食事動作中の各関節の最大値・最小値・すくい終わり・口へ入れる時の関節角度と動作観察では,最大値は通常位と比較し,掌屈位では有意に肩関節の内旋,肘関節の屈曲,前腕の回外角度が小さくなった.中間位・背屈位では有意に前腕の回外角度が小さくなった.最小値は通常位と制限位の比較では有意差は見られなかった.対象物のすくい終わりは通常位と比較し,掌屈位では有意に肩関節内旋の角度が小さくなった.中間位と背屈位では有意差は見られなかった.対象物を口へ入れる時は通常位と比較し,掌屈位では有意に肘関節の屈曲,前腕の回外角度が小さくなった.中間位では有意に前腕の回外角度が小さくなり,背屈位では有意差は見られなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症拡大のため、被験者,実験環境の整備等の調整が難航しやや遅れ気味である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度において、被験者の調整を倫理審査会の規定もに基づいて速やかに行う。また、実験環境を再整備し、感染リスクの軽減に努める。 実験課題においては、手関節および前腕の制限モデルを筋電図的解析も含めて行う予定であり、それらを加えた食事動作の協調性について検討する。 これまでの研究結果を成果ととして公表できるように進める。
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Causes of Carryover |
2020年度においては新型コロナウィルス感染症拡大に伴い、学会等の研究会への参加ができず、旅費の使用がなかった。人件費・謝金については、実験補助者に対して支払いを行った。また英文校正・掲載料については実験の遅延があり、論文掲載に至らなかったため、2021年度支出予定とした。 2021年度は、継続して実験を行う予定であり、そのための実験消耗品および人件費、これまで実施した研究の成果発表に係る費用(英文校正,投稿費用)を支出予定である.
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