2018 Fiscal Year Research-status Report
末梢神経における動的構造部位に関連する運動障害の研究
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18K10764
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
齊藤 百合花 帝京科学大学, 医学教育センター, 講師 (00530099)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 運動障害出現 / 加齢 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動時に筋肉へ電気信号を伝える末梢神経にのみ存在するシュミット・ランターマン切痕(以下、切痕)を主体にミエリンの顕微鏡で認める構造変化と実際の運動障害の関連性を明らかにするために、当該年度は切痕の構成蛋白の複合体形成に関する検討を行った。末梢神経疾患のシャルコー・マリー・トゥース病の病理所見に類似する所見をすでに報告している膜骨格蛋白4.1Gの欠損マウスに加え、4.1G複合体の一つであるシグナル蛋白MPP6の欠損マウスも検討に用いた。その結果、4.1G欠損マウスでは切痕で4.1Gと蛋白複合体を形成している接着蛋白CADM4、MPP6、シグナル蛋白Lin7が欠損することで病理所見を示すが、MPP6欠損マウスでは蛋白複合体のうちLin7のみが欠損していた。そして、MPP6欠損マウスの病理所見は4.1G欠損マウスよりも穏やかな所見にとどまり、髄鞘が正常よりもやや過形成であることを明らかにした。以上より、切痕の構成蛋白である4.1Gは複合体のうちCADM4およびMPP6を運搬し、MPP6がLin7を運搬することが示唆された。 また、4.1G欠損マウスでは、加齢マウスへの運動負荷により運動障害が悪化することをすでに報告していることから、当該年度では病理所見の穏やかであったMPP6欠損マウスでも同様に運動障害がみられるかを加齢マウスにおいて現在検討・解析中である。 切痕の構造と運動時の伸縮における影響の検討として、1年齢未満のマウスを用いて生体内凍結技法により末梢神経の弛緩時と伸展時の状態を維持した試料を採取した。現在、この試料を用いて、伸縮時の構造的な変化を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は蛋白複合体の解析を主体に行い報告した。今後の研究のためにマウスの観察や試料の採取も行うことができており、現在解析中であるため、解析が終われば次の検討段階に入ることが可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で当初の研究計画に沿って推進することで特に問題ないため、今後の研究も研究計画に沿って推進する予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度の進捗はほぼ予定通りではあったが、当初の予定より多少進捗が遅れたため、平成30年度に購入予定であった機器(486,000円)を次年度早々に購入する計画に変更した。令和元年度は、当初の計画通り遂行する予定。
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