2018 Fiscal Year Research-status Report
有限要素法を用いた骨盤骨転移の骨強度予測スコアリングシステムの開発
Project/Area Number |
18K10774
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠田 裕介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80456110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 寛 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (20407951)
田中 健之 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00583121)
別所 雅彦 国際医療福祉大学, 医学部, 講師 (50451810)
芳賀 信彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80251263)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨転移 / 骨盤 / 骨折 / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨転移の治療の目的は病的骨折や麻痺を予防・治療してADLを改善することである。転移性骨腫瘍により骨盤の骨折を生じるリスクが高い切迫骨折の患者に対しては、免荷を指示することが多く、部位的な性質もあり四肢と比較すると骨折を生じる患者は少ない。このように骨折事例が少ないことが、骨折のリスク因子を明確にすることを困難にしている。さらに、単純レントゲン像では検査の感度が低いこと、形状が複雑なこと、手術が容易に行える場所ではないこと、などが理由で、これまで骨盤転移による骨折リスクや手術適応の指標が存在していなかった。 そこで、これらの問題点を解決する方法として、我々は有限要素法を用いることとした。有限要素法とは、骨のCT画像を元に、骨密度を持った3mm大の四面体要素(骨の表面は3mm大の三角形平板)から成る3次元の骨シミュレーションモデルを作成し、このモデルに対して仮想的に力を加えることで、立体構造の強度や骨折部位を予測する方法であり、共同研究者である別所cadaverを用いた実験によってその精確性を証明している。 平成30年度は、転移性骨盤腫瘍をもつ患者のCTデータをDICOMデータとして有限要素法解析ソフトに取り込み、健常側をもとに正常骨盤モデルを作成した。仙腸関節を拘束し恥骨結合は水平方向のみに拘束した条件で、股関節の臼蓋に体軸方向に荷重をかけて、荷重のかかり方を検証している。また、条件によってどの様な変化が生じるのかを解析し、最適な荷重モデルを検討している。予想としては股関節臼蓋と仙腸関節をつなぐ範囲に荷重がかかるものと想定しているが、現在は、予想通りの荷重のかかり方と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
有限要素法の解析用ソフトのライセンス契約の問題で、使用できるタイミングが遅れてしまい、コンピュータの購入、設置に時間を要した。 患者データの取得は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、荷重拘束条件を詳細に詰めた上で、荷重のかかり方の詳細な解析を進める。その後、正常骨盤に腫瘍を模した欠損を作成し、どの部位に欠損があると骨折を生じやすくなるのかを検証する。さらに、実際の骨盤骨転移患者のCTデータを用いて、腫瘍の位置・大きさだけでなく、性状による強度の違いも検証する。転移性骨腫瘍は溶骨像や造骨像、これらの混合像を呈することがあるが、溶骨像は骨強度が弱く造骨像が強いと考えて良いのかを確認する。また、がん種による骨強度の違いに関しても検討する。これらのデータをもとに、位置や大きさ、腫瘍の種類や性状によるリスク因子の候補を挙げる。
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Causes of Carryover |
コンピューター及びソフトの購入費が予定よりも低額であったことで、物品購入費が抑えられたため。来年度は関連した論文投稿(英文校正や投稿料)および学会発表での使用額が増額する見込み。
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