2020 Fiscal Year Research-status Report
急性期脳卒中高次脳機能障害に対する音楽リハビリテーションの開発と有効性の検証
Project/Area Number |
18K10792
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
笠井 史人 昭和大学, 医学部, 教授 (50266095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大澤 彩 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (20593726)
青木 啓一郎 昭和大学, 保健医療学部, 講師 (90787095)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 音楽療法 / 急性期脳卒中 / 高次脳機能障害 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
意識混濁や不安の高い急性期に集中してリハビリテーションに取り組むことは難しい。そこで短縮された急性期の入院期間で、高次脳機能障害をいち早く把握し、有効なリハビリテーションを行うために音楽を利用したプログラムを考案し、その有効性を実際に患者に試行して検討した。対照として、音楽要素を持たない脳トレーニング手法を行ったケースと効果の差を検討した。 その結果、音楽療法も脳トレーニングも同様にTMT検査の改善が大きかった。音楽は聴く、歌う、演奏する、などでそれぞれ活用される大脳皮質が違い、覚えて、歌詞を書くなどを加えれば、脳全体の活性化に大きく貢献する。さらに電子楽器を演奏することにより芸術的かつクリエイティブな活動も可能になる。しかし残念ながら検査結果数値からは脳トレーニングに対する高次脳機能改善の優位性は認められなかった。ただし決して音楽療法が劣ることはなかった。症例が少なく、更なる検討を要すると考える。 音楽療法は楽しく高いモチベーションに加え、精神安定という脳卒中急性期患者に重要な効果も期待できる。GHQ精神健康調査では音楽療法群で改善が大きかった。急性期患者には、音楽の癒しによる精神安定効果が高く現れると考える。 「脳トレーニング」に対する高次脳機能改善の優位性は認められなかった。しかし音楽療法群も急性期脳卒中高次脳機能障害に対する効果を示しており、音楽リハビリテーションの有効性に対する可能性にはさらなる検討を要する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染蔓延により、脳卒中急性期の症例に対するリハビリテーションの症例数が少なくなり、また歌唱などエアロゾルを助長する手法を他患者と交差する訓練室で行うことが叶わず、当初の予定症例を十分集めることができなかった。限られた症例数ではあるが、研究を一段落させ予定していた海外学会発表の機会を窺っていたが、学会自体の開催が限定され、また渡航できない状況となってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
海外学会渡航発表を計画していたが、その機会が得られなかった。研究の期間延長によりコロナウイルスの収束による海外学会参加の方法を模索したい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により遂行できなかった計画、海外渡航発表等から繰越金が発生した。 当費用は研究の遅れた部分の遂行と、研究のまとめにpaperを発行するために使用したい。
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