2021 Fiscal Year Annual Research Report
Exploratory research for regulatory mechanism underlying vascular neointimal hyperplasia by EDHF
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18K10795
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 猛雄 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (70159888)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 内皮依存性膜過分極因子(EDHF) / 動脈グラフト / 異常血流 / 内膜肥厚 / 血管内皮機能障害 / 一酸化窒素(EDNO) / Ca2+活性化K+チャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度の検討により、以下の成果が得られた。 正常血流下の動脈グラフトと比較して異常低血流下の動脈グラフトでは、(i)平滑筋細胞の静止膜電位に差が認められなかった、(ii)アセチルコリン(ACh)やサブスタンス-P(SP)による内皮依存性の平滑筋細胞の過分極(受容体依存性反応)はともに少し小さく(約50%程度に減少)なったが、Ca2+イオノフォアA23187による内皮依存性の平滑筋細胞の過分極(非受容体依存性反応)には変化が認められなかった。これらの結果より、動脈グラフトにおける低血流ストレスは、受容器活性化による内皮細胞のCa2+動員のシグナル伝達機構を部分的にダウンレギュレーションする可能性を示唆する。しかしながら、これらの動脈グラフトの結果は、静脈グラフトの結果(静脈グラフトでは受容器活性化によるEDHFの反応は完全に消失;Itoh et al., 2012; Maekawa et al., 2012)と対比的なものであった。つまり、動脈グラフトでは異常な低血流環境下でもEDHFの機能は半分程度保持される(また、前年までの結果は、低血流下の動脈グラフトではEDNOの機能も70%以上保持されることを示していた)。 冠動脈バイパス術では、静脈グラフトと比較して動脈グラフトが良好な開存率を示すことが報告されている。本研究の結果より、動脈グラフトでは異常低血流下でもEDNOとEDHFの機能が保持されることによって内膜肥厚が抑制され、良好なグラフト開存率を示す可能性が示唆された。
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