2019 Fiscal Year Research-status Report
統合失調症者の生活機能改善と包括的リハビリテーションに寄与する運動療法の開発
Project/Area Number |
18K10802
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Research Institution | Kobe Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 大誠 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 講師 (10411886)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 仁 広島大学, 医系科学研究科(保), 教授 (40311419)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 精神疾患 / 運動療法 / BBAT / リハビリテーション / 理学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における統合失調症の治療は、精神症状に対する薬物療法が第一選択肢とされており、生活機能の基盤となる身体への医学的対応については関心が低く、身体への治療的介入を含めた適正な保健医療サービスおよび地域生活移行への取り組みが十分になされていない。これらの背景には、精神疾患である統合失調症の治療に身体的治療を取り入れる理論的背景、あるいはその具体的治療法が日本国内では十分に確立していないことがあげられる。これらの背景から、本研究は、体力医学的側面から生活機能の改善に向けた身体活動増進に焦点をあて、統合失調症者に対する運動療法が早期退院および地域生活への移行を含む包括的リハビリテーションに寄与するかどうかについて明らかにする。 本研究の目標を達成するためには、統合失調症者に対する運動療法が病院内の治療プログラムにとどまるのではなく、生活機能の改善に向けた身体活動増進に焦点をあて、統合失調症者に対する運動療法が早期退院および地域生活への移行を含む包括的リハビリテーションに寄与するかどうかについて明らかにする。 2019年度は、研究協力者の所属する精神科病院において、統合失調症者を対象に臨床介入研究を実施した。2018年度の予備的研究から得られた知見をもとに、臨床における研究計画に基づき、現在退院後のフォローアップを実施中である。研究対象者の評価は、精神症状および生活評価尺度、認知課題、運動課題を実施している。入院中の運動療法は、協力施設の理学療法士による運動療法として1回60分、1週間に2回の頻度で8週間、合計16回実施している。退院後のフォローは、外来通院時に評価を実施しており、現在は治療対象となった者と通常の治療者のみの評価結果を集積中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に想定していた運動介入のフォローアップについては、最大6か月を想定しており、2020年度に評価を持ち越している症例もある。現在、コロナウィルスで病院でのフォローアップが懸念されるが、現時点ではおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、今年度までの研究成果を基に、統合失調症者に対する身体運動の介入が生活機能の改善および地域生活への移行にどのように寄与したか、また身体運動の介入を含んだ精神科医療における包括的リハビリテーションのあり方について科学的根拠に基づいた視点から検討する。また、単なる文献調査にとどまらず、協力施設のBBAT実施者に対して半構造化面接を実施し、臨床におけるより効果的な運動療法介入のあり方について検討する。現在の進捗状況から、協力施設の協力が想定通り得られるか検討中である。
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Causes of Carryover |
2019年度の研究成果について、国際学会での成果発表を予定していたが、コロナウィルス感染拡大による学会延期のため、予算が執行できなかった。本予算については、2020年度の国際学会の予定があれば執行を計画している。
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