2018 Fiscal Year Research-status Report
Does physical frailty predict cognitive frailty?: an analysis of the default mode network
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18K10807
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田中 睦英 九州保健福祉大学, 保健科学部, 講師 (20412835)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 認知的フレイル / 安静時脳波 / デフォルトモードネットワーク / 姿勢バランス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,高齢者の生活機能や健康長寿を阻害する要因として,フレイル(Frailty)という概念が注目されている.一般的にフレイルは身体機能の脆弱性を指すが,認知機能のフレイルについては明確な定義がなく,身体機能のフレイルとの関連も明らかではない.本研究は,身体的フレイル高齢者の安静時脳波の律動的振動(オシレーション)を記録し,安静時脳活動の定常状態であるデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の機能的連関を解析することで,認知的フレイルの神経基盤について検証するとともに,身体機能障害との関連についても検討することを目的として実施している. 初年度は研究代表者および過去に計測した若年健常成人の開眼・閉眼条件による安静時脳波データを活用し,DMN解析の方法について検討した.本研究で使用している32ch脳波計(ポリメイト+脳波計測ボックス)は従来使用していた脳波計よりチャンネル数が少なく,測定環境自体も電気的な干渉を受けやすい空間であったため,独立成分分析を行うことで眼球運動などの不要な成分を除去し,脳波振動の周波数帯ごとを解析する方法を導入した.その結果,正中線上の電極(前頭部・正中部・頭頂部)においてα帯域,β帯域の同期的な活動が確認され,健常成人におけるDMNパターンであると確認された.次年度は健常若年成人による予備研究を重ねた上で中高年および高齢健常被験者のデータ測定に移行し,解析方法の確立と地域におけるフレイル高齢者の研究フィールドの開拓を展開する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度は研究代表者自身が被験者となって予備実験を行い,脳波および姿勢バランスのパラメーターである重心動揺を計測したが,安定して脳波を計測する環境とシステム構築,脳波解析のソースコードの作成に時間を要した.計測環境と測定システムについては完成したが,脳波解析のソースコードについてはまだ修正の余地があり,重心動揺の各変数との統計処理についても再検討する必要があった. 研究協力機関である九州大学大学院医学研究院脳研臨床神経生理学教室に2ヶ月に1回程度の頻度で打ち合わせに行く計画であったが,所属機関の職員退職にともなう教育業務に要するエフォートが大幅に増加し,今年度は2回しか打ち合わせができなかったことが最大の遅延の原因である.同様に研究時間を十分に確保できず,過去の測定データを使用して準備を進めざるを得なかったのも遅延要因の一つである.
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Strategy for Future Research Activity |
安静時脳波の解析プログラムについては,複数電極を組み合わせた皮質領域(関心領域)を同定し,周波数解析および関心領域間の同期/非同期活動を可視化するコヒーレンス解析を導入したソースコードを作成中である.次年度上期に研究協力機関である九州大学大学院医学研究院脳研臨床神経生理学教室での解析打ち合わせおよび若年健常成人を対象とした予備実験を実施し,実験プロトコルと方法について次年度上期までに整備する.併せて地域の転倒予防教室や介護保険施設に被験者募集を要請し,次年度中に高齢者のデータ計測を実施する.データ計測に際して,被験者候補には事前にフレイルのスクリーニングを実施し,身体的フレイル・認知的フレイル・健常高齢者各10名の被験者募集を目標とする.健常成人については地方紙への募集広告掲載や,学部生の知人・家族などを通じた被験者確保のルートを確立する.
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Causes of Carryover |
(理由)今年度計画では若年健常成人・健常高齢者・フレイル高齢者各20名のデータ計測を実施する予定であったが,研究計画に遅延が生じたため新規被験者によるデータ計測ができなかったため,人件費の該当予算(約20千)が未使用であった.同様に,当初計画していた研究協力機関での打ち合わせや研究成果報告のための学会出張に伴う旅費支出の執行額が大幅に少なくなったため,繰越額が発生した. (使用計画)40名程度のデータ計測を実施するための謝金・交通費・募集広告費用(300千),実験打ち合わせに係る旅費・交通費(150千),国際学会での演題発表に係る演題登録費,参加費,旅費(400千),国内学会参加(100千),必要物品の購入(脳波ゲルおよび注入用シリンジ)(100千).
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