2021 Fiscal Year Research-status Report
Does physical frailty predict cognitive frailty?: an analysis of the default mode network
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18K10807
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
田中 睦英 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 講師 (20412835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 喜久雄 九州保健福祉大学, 保健科学部, 助教 (90805053)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知フレイル / 安静時脳波 / デフォルトモードネットワーク / 姿勢バランス |
Outline of Annual Research Achievements |
COVID-19の感染状況が改善せず,県境を超えて研究協力施設(九州保健福祉大学)に赴くことが困難であったことから,今年度も脳波実験は実施できなかった.そこですでに取得しているフレイル測定指標と認知機能指標(自覚的ものわすれ尺度)の結果から,軽度の認知機能低下とフレイルとの関係を探索した. 65歳以上の被験者29名について,身体機能(身長・体重・BMI・握力・2m歩行速度・重心動揺),生活機能(基本チェックリスト),認知機能(主観的認知機能低下尺度;MAC-Q)を測定・評価し,欠損値のあった4名を除く25名(女性21名,男性4名)を解析対象とした.MAC-Qのカットオフ点(25点)から前軽度認知障害(pre-MCI)群17名(女性13名,男性4名),健常群8名(女性のみ)に分類された.身体機能と基本チェックリストについて独立サンプルのt検定で群間比較を実施したところ有意差を認めた項目はなかったが,2m歩行速度についてpre-MCI群が健常群よりも遅い傾向を認め,中等度の効果量を示した(pre-MCI群: 2.23±0.68sec,健常群:1.81±0.43sec,p=0.128, Cohen’s d=0.68).一方,本邦のフレイル判定基準である改定J-CHS基準(体重減少,筋力低下,疲労感,歩行速度,身体活動)に基づいて分類した結果,プレフレイル/フレイル群17名(女性14名,男性3名),健常群8名(女性7名,男性1名)となり,先述の認知機能の分類とのクロス集計ではフレイル分類と認知機能分類間で有意差を認めなかった.フレイル分類による身体機能・認知機能の群間比較で有意差を認めた項目はなく,効果量も低かった. 以上の結果から,極軽度の認知機能低下を有する高齢者では歩行能力の低下をきたす可能性があり,認知フレイルは身体機能よりも認知機能低下が先行することが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の主たる被験者は65歳以上の高齢者であり,COVID-19ハイリスク群に相当する.市中感染がある程度抑制されたタイミングで実験を再開する予定であったが,研究責任者の居住する地域の感染状況が改善せず,県境を超えた移動を控えるよう通達があったことから,研究の停滞を余儀なくされた.年度後半では研究協力施設のある地域での感染が拡大したこともあり,実験再開は次年度以降へ持ち越しとなった.
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Strategy for Future Research Activity |
現在,COVID-19感染の第6波が地方を中心に拡大しており,特に研究協力施設のある宮崎県ではその傾向が顕著である.高齢者については新規の被験者はリクルートせず,すでに事前データを取得している25名について脳波実験依頼を進めていく.第6波の動向を見ながら夏季~秋季に脳波実験の実施を検討する.また健常被験者については,COVID-19の感染リスクが少なくワクチン接種を3回済ませている25~30歳代の健常成人からリクルートする.脳波解析については従来の計画通り,定常状態の安静時脳波の周波数解析・ネットワーク解析を中心に行い,認知機能・身体機能パラメーターとの相関について検討する.今後の研究実施計画や解析方法の検討については,これまで通りZoom等を活用したオンラインミーティングで研究協力者と協議しながら進めていく.今年度中に高齢者20名,健常成人20名の脳波データ取得・解析を目指す.
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Causes of Carryover |
(理由)前年度に引き続きCOVID-19の感染拡大により高齢被験者の脳波実験が実施できなかったことから被験者の謝金が発生しなかった.同様に,研究協力期間や研究分担者・協力者との打ち合わせはリモート会議で実施し,参加予定であった学会もオンライン参加であったことから旅費が発生しなかった.今年度の支出は研究環境の整備(PCと周辺機器,研究備品運搬用のカートの購入)にとどまった. (使用計画) 研究協力期間(延岡市)での脳波実験のための旅費・交通費並びに謝金(約400千円),国内学会参加旅費(約60千円),被験者への案内文書送付(約10千円),脳波実験用備品購入(脳波ゲル・注入用シリンジ)(約150千円).
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