2018 Fiscal Year Research-status Report
Effects of mild hyperbaric oxygen on decreased metabolism of type 2 diabetes
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18K10815
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石原 昭彦 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (90184548)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 軽度高気圧酸素 / 2型糖尿病 / 代謝改善 / 溶存酸素 / 骨格筋 / GKラット / Pgc-1α / FoxO1 |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の研究期間において、食事の制限や運動の継続を必要とすることなく、さらに薬物の投与も行わずに、「軽度高気圧酸素」の環境に滞在することによって糖尿病を予防・改善できることを検証する。研究の第1年度は、糖尿病の発症が始まる生後10週齢のGoto-Kakizaki(GK)ラットを使用した。 生後10週齢のGKラットを、普通環境で飼育する群(GK、10匹)と1日3時間、1.3気圧、35-40%酸素の「軽度高気圧酸素」の環境に滞在させる群(GK-MHO、10匹)に分けて10週間にわたって飼育した。また、糖尿病ではないWistar系ラット(WR、10匹)を対照群として普通飼育した。 採血後に空腹時血糖、HbA1c、総コレステロール、中性脂肪、インスリン、レプチン、アディポネクチンを測定した。下腿よりヒラメ筋を摘出して、酸化系酵素(SDH)活性を生化学的に測定、さらにPgc-1α、FoxO1の各mRNA発現量を解析した。ヒラメ筋を摘出して凍結後に薄切片を作製、ATPase染色を施して、筋線維をtype I、type IIA、type IICにタイプ分類した。筋線維タイプ構成比を算出するとともに、筋線維タイプ別に横断面積を算出した。 空腹時血糖、HbA1c、総コレステロールについてはGK群>GK-MHO群>WR群、中性脂肪とインスリンについてはWR群>GK群=GK-MHO群、レプチンとアディポネクチンについては3群間で違いは認められなかった。ヒラメ筋のSDH活性とPgc-1α mRNA発現量についてはWR群=GK-MHO群>GK群、FoxO1 mRNA発現量については3群間で違いは認められなかった。WR群とGK-MHO群では3タイプの筋線維が認められたが、GK群ではtype I線維だけが認められた。筋線維の横断面積については、いずれのタイプでも3群間で違いは認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の研究期間において、糖尿病の発症が始まる生後10週齢 (研究の第1年度)、糖尿病が発症した生後20週齢 (研究の第2年度)、さらに糖尿病が進行・悪化した生後30週齢 (研究の第3年度) の実験動物を「軽度高気圧酸素」の環境に滞在させて、糖尿病を予防・改善できるかどうかを明らかにする。 本年度は「研究の第1年度」であり、糖尿病の発症が始まる生後10週齢の実験動物を使用して予定通りに研究を遂行できた。なお、研究を遂行する上での問題点は生じなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
3年間の研究期間において、糖尿病の発症が始まる生後10週齢 (研究の第1年度)、糖尿病が発症した生後20週齢 (研究の第2年度)、さらに糖尿病が進行した生後30週齢 (研究の第3年度) の実験動物を「軽度高気圧酸素」の環境に滞在させて、糖尿病を予防・改善できるかどうかを明らかにする。第1年度の研究が終了して、計画通りに第2年度、第3年度への研究へと進む予定である。 研究の第1年度において、実験動物の飼育、解剖と組織の摘出、組織の分析、データ解析、結果のまとめなど一連の研究が問題なく終了した。第2年度、第3年度は、週齢の異なる糖尿病動物を使用すること以外は研究の第1年度と同様の内容である。したがって、予定通りに進むものと思われる。
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Causes of Carryover |
科学研究費による研究のために使用する消耗品 (カバーグラス、スライドグラス、試薬) を当初の計画より少なく購入することで研究を遂行することができました。次年度に 行う研究内容の変更はありませんが、次年度の使用額につきましては、ガラス機器 (カバーグラス、スライドグラス、ビーカ類) の購入に210,093円、試薬の購入に200,000円を使用させていただき、研究を実施したいのでよろしくお願い申し上げます。
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