2019 Fiscal Year Research-status Report
片脚支持爪先立ち及び回転動作における動的バランス調整機構についての動力学的解析
Project/Area Number |
18K10819
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
井村 祥子 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 助教 (30586699)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | バレエ / 回転動作 / バランス / 動力学的解析 / バイオメカニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,1年目に取得してあったバレエのピルエット(片脚支持回転動作)という回転動作について,回転数を決定する上肢の角運動量のデータ解析と1年目の分析に関する論文執筆を行った.9人のプロバレエダンサーによるピルエットの3-6回転の試行について,上肢の角運動量を生成する全身の力学の動力学的解析を行った.データ解析は,逆動力学法によるトルク解析と運動方程式を用いた動力学的解析により行った.体肢および体幹をそれぞれ3セグメントに分け,計15セグメントについての運動方程式を用いて,鉛直軸周りの上肢の最大角運動量を生成する,下肢の力学を同定した. 上体だけの解析では,上肢の角運動量は主に肩関節水平内外転トルクの直接的な効果や,それらのトルクの累積的な効果によって生成されていた.全身の力学にまで解析を拡大すると,それらに加え累積的な効果として下肢の屈伸トルクや内外転トルクの影響が見られた.特に回転数が多くなると,各上肢の角運動量に対して下肢関節トルクによって生成される角運動量が占める割合が増加していた.この傾向は先行研究で重要視されていた左上肢の角運動量の増加で顕著に認められた. これらの分析結果から,上肢の全直軸周りの角運動量生成において,全身の鉛直軸周りの回旋運動だけでなく,下肢の屈伸および内外転運動が鉛直軸周りの角運動量を生成することが示された.申請者の先行研究では,上体の角運動量の増加に股関節トルクの各成分やその股関節角度の調整が関係することが示されている.これらのことから,股関節角度の変化やトルク発揮の変化が上肢の角運動量に間接的に影響を与えることが示唆された. 当該年度の研究では,動力学的解析においてモデルのセグメント長の変化や関節の解剖学的拘束を考慮した誤差項が大きく計算されていた.次年度以降これらを調整する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度に出産を控えていたため,大掛かりな装置の準備を伴う実験をすることができなかった.このためすでに取得していた実験データの解析は進んでいるが,第二実験として予定していた足圧分布計を使用した研究が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
育児休業から復帰後,実験を実施しデータ取得を行う予定である.育児休業中は,それ以外の取得済みのデータを用いて数値解析を進めておき,復帰後には新たなデータでの分析に集中できるように準備しておく.
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Causes of Carryover |
当該年度に出産を予定しており,実験を行うことができなかったため,予定していた実験に伴う支出(謝金・実験時のアルバイト代など)がなされなかった.育休から復帰後に実験を行うため,これらの予算を使用する予定である.
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