2018 Fiscal Year Research-status Report
筋力トレーニングに伴う動脈硬化機序の解明-動脈粘性の役割に注目して-
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18K10826
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
河野 寛 国士舘大学, 文学部, 准教授 (40508256)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 動脈粘性 / 動脈コンプライアンス / 動脈スティフネス / 筋力トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈は粘弾性体であるにも拘わらず,これまで動脈機能に関する研究のほとんどは弾性に焦点が当てられてきた。動脈弾性は加齢・低心肺体力・高血圧によって低下するが,動脈粘性については増加することがわかっている。この粘性の増加には交感神経の亢進や動脈壁の肥厚などが関連していることから,加齢などに対する動脈機能の適応機序に動脈粘性が関与していることは明らかである。他方で,ADLを維持向上させるもっとも有効な手段である筋力トレーニングもまた動脈弾性を低下させるが,その機序は不明である。したがって,筋力トレーニングの動脈粘性に及ぼす影響を検討することは,筋力トレーニングが動脈弾性を低下させる機序の一端を解明することにつながると考えられる。そこで今年度は,筋力トレーニングが動脈粘性に及ぼす影響を明らかにするために,すでに測定が終わっている筋力トレーニングを実施している若者(R群)と一般若年男性(C群)を比較する横断的研究を実施した。 被験者は,R群14名(21.4±2.9歳),C群23名(21.9±2.3歳)であった。安静時心拍数,収縮期血圧および拡張期血圧に両群間で有意な差は認められなかった。R群はC群と比較して,頸動脈コンプライアンスが有意に低く,βスティフネスが有意に高かった。動脈粘性については,R群(1694±647 mmHg・s/mm)がC群(1379±508 mmHg・s/mm)よりも高値を示したが,有意性は認められなかった。 先行研究と同様に,筋力トレーニングを実施している者は動脈コンプライアンスが低下することを確認した。今後は,筋力トレーニングによって動脈粘性が高まるかどうかについて,R群のサンプル数を増やすことで,エビデンスレベルを高める必要があると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに取得した被験者のデータをすべて見直し,活用できるデータをマイニングした。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は研究協力者の所属異動が生じたため,介入研究のプランを見直す必要がある。実験施設については,問題なく使用できるので,今後も順次測定を進めていく。
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Causes of Carryover |
今年度は当初よりも謝金を必要とする研究を行わずに済んだ。次年度は謝金を必要とする研究を実施する予定である。
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