2023 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanisms of arterial stiffening with resisntance training - Focused on role of arterial wall viscosity -
Project/Area Number |
18K10826
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
河野 寛 国士舘大学, 文学部, 教授 (40508256)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 筋力トレーニング / 動脈コンプライアンス / 動脈粘弾性 / 左心室機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,筋力トレーニングの動脈粘性に及ぼす影響を検討し,筋力トレーニングが動脈弾性を低下させる機序の一端を解明することとしている。R4年度において,筋力トレーニングを実施している10名(R群)を測定したが,コントロール群(C群)との年齢差に有意性が認められたため,R5年度は,筋力トレーニングが動脈粘性に及ぼす影響を明らかにするために,C群に相当する一般若年男性7名をさらに測定することで,データの妥当性を高めることとした。 年齢などのクライテリアを厳密にした結果,被験者は,R群12名(20.0±1.7歳),C群15名(20.7±1.7歳)となった。安静時心拍数,収縮期血圧,拡張期血圧および脈圧においては,両群間で有意な差が認められなかった。R群はC群と比較して,平均血圧(88.5±8.3 mmHg vs 70.6±11.0 mmHg)が有意に高値を示した(p<0.05)。またR群の頸動脈コンプライアンスはC群と比較して有意に低かったが(0.093±0.029 cm2/mmHg vs 0.153±0.060 cm2/mmHg; p<0.05),動脈粘性は有意に高値を示した(3068±1203mmHg・s/mm vs 1813±821 mmHg・s/mm; p<0.05)。また左心室の後壁厚はR群が有意に高かったが(1.46±0.22 cm vs 1.02±0.14 cm; p<0.05),一回拍出量に有意な差は認められなかった。 この結果から,筋力トレーニングによって心肥大は起こるものの,一回拍出量は増えないため,拍動エネルギーは維持されていることがわかる。そして,筋力トレーニングによる生じる動脈硬化(動脈コンプライアンスの低下),換言すると,弾性エネルギーの低下は,動脈粘弾性(散逸エネルギー)の増大によって代償されていると推測される。
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