2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K10833
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小木曽 航平 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (00711235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 哲也 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30613921)
田邊 元 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 講師 (40758588)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 長崎ペーロン / 瀬戸内櫂伝馬 / 沖縄空手 / 文化資源 / 草の根の国際化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 実施した研究の概要 当該年度においては、(1)長崎ペーロン(2021年7月)、(2)瀬戸内櫂伝馬(2021年5月、6月、7月)、(3)沖縄空手(2021年11月)の現地調査を実施した。(1)では、長崎市内の長与地区、野母崎地区、茂木地区のペーロン保存会関係者への聞き取りを行ったと同時に、競技大会の実施場所や艇庫などの関係施設を見学した。(2)では、大三島(愛媛県)、大崎上島(広島県)の関係者への聞き取りを行うとともに、舟の形状や管理方法などについて情報を収集した。(3)では、那覇市内と沖縄市内の道場を訪問し、道場主に聞き取りを実施した。 2. 研究の成果 調査を行った長崎ペーロン、瀬戸内櫂伝馬、沖縄空手のどの伝統スポーツにおいても担い手の多様化が進んでいることが明らかになった。長崎ペーロンと瀬戸内櫂伝馬では、人口流出による担い手の減少に対して、Iターン者を取り込むことで影響を少なくすることや地域の保存会を統合することなどで担い手不足という課題に対応していた。また、沖縄空手に関して、今回の調査では国際的なつながりの重要性が浮かび上がった。国や県の取り組みよりも前に、すでに各個別の道場が独自に海外に支部を設立し、それを拠点に弟子同士が交流を行うなど、草の根の国際交流ともいうべき活動を展開しており、それが沖縄空手の文化資源としての価値をグローバルなレベルに引き上げていると考えられた。当該年度の調査を通じて、担い手の多様化と地域コミュニティの再編成は各伝統スポーツの文化資源としての可能性に大きく影響していることが判明した。 3. その他 なお、研究期間の延長をした年度であったが、引き続き新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、国内の移動制限や活動の自粛により、予定通りには調査を進めることはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、当初の予定より現地調査を実施できていない。結果として参与観察の必要な「身体技法の変化」という研究課題やについては、「観光化」という課題についてまだ十分に検討しきれていない部分がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後については、ウィズコロナ/ポストコロナ状況下で、国内の伝統スポーツ関連イベントが再開され始めている状況を積極的に捉え、これまで取り組めていない「観光化」について現地調査を実施していくとともに、「身体技法の変化」という面についても実際の参与観察を含めて、研究を深めていきたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、調査対象となる祭り、イベント等がキャンセルになったり、移動制限で調査者が調査地に行くことができないなど、予定していた現地調査を十分に実施することができなかった。このため、次年度使用額が生じた。次年度使用額については主に沖縄空手に関する調査費用に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)