2020 Fiscal Year Research-status Report
保護者の関与と子どものスポーツ習慣形成に関する総合的研究
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18K10842
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Research Institution | Hiroshima University of Economics |
Principal Investigator |
渡辺 泰弘 広島経済大学, 経営学部, 准教授 (30611610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 耕二 広島経済大学, 経営学部, 教授 (60264983)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スポーツ・ペアレンティング |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、子どものスポーツ活動に関する保護者と子ども自身のそれぞれの意識を検証することによって、子どものスポーツ活動における親子の因果関係を探ることを目的とした。2020年9月から11月にかけて、JリーグおよびBリーグに加盟するチームのスクール/アカデミーに参加している子どもとその保護者を対象に、質問紙調査を実施した。質問紙の配布数は、スクールまたはアカデミーの参加人数分であり、子ども用1部と保護者用1部がペアとなるように設定をした。分析に用いられたデータはサッカーが279部、バスケットボールが117部である。調査項目は、先行研究(e.g., Green & Chalip, 1997)を参考とした。 現時点での分析結果として、バスケットボールでは「プレーをほめる」、「いつも応援している」、「試合で勝つように言葉をかける」、「親族・友人・知人にスクールのことを話したい」、「プロ選手を目指してほしい」といった項目で、保護者の意識が子どもよりも高い傾向であった。一方、子どもの意識が高かった項目は「バスケットボールへの関心」、「可能な限りこのスクールに通いたい」であった。サッカーでは、「いつも応援している」、「試合で勝つように言葉をかける」といった項目で、保護者の意識が子どもよりも高い傾向であった。一方、子どもの意識が高かった項目は「プレーについて意見を言われる」で保護者よりも意識の高い傾向がみられた。 現時点の分析では明らかにできていないが、自分自身の競技能力に対する保護者の評価を肯定的に知覚している子どもほど競技能力に対して謙虚であることや、子どものスポーツ参加に対して、助言、用具の購入、送迎などの援助を行うリスクを冒しながらも子どもに関与および期待をする保護者の意識の表れが垣間見えた。また、保護者の信念や評価に対する子どもの解釈が重要であることも示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の目的であった保護者とその子ども双方への量的調査を実施することが可能となり、すでにデータブックとして関係各所への報告が済んでいる。そして、過年度に実施した研究を含め、研究目的の遂行に向けた分析および考察を進めることができているからである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、保護者と子どもの相互の合意がスポーツ習慣形成の重要な予測手段となりうる可能性が考えられるという先行研究の知見から、各要因の因果関係の検証や、それに関わる調整変数の検討(母親、父親による意識の違いなど)を行う予定である。 また、研究の最終年度であるため、国内外の学術誌への論文投稿や関係各所への最終報告書の作成、今後の研究の進展を含めた検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
昨今の疫病騒動によって、国際共同研究にかかわる海外渡航費などの経費が掛からなかったため。また、調査のための必要経費について、当初の見積もりよりも安価で遂行できたため。使用計画として、研究テーマに沿った多様なデータの収集および、それにかかわる分析が可能な統計ソフトの購入を検討している。
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Research Products
(1 results)