2019 Fiscal Year Research-status Report
Clarifying the effect of insoles on sports performances
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18K10843
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
布目 寛幸 福岡大学, スポーツ科学部, 教授 (10270993)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インソール / 労働負荷 / 肉体労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度の成果(インソールによる背筋力の有意な増加)を踏まえて、インソールによる介入によって特殊な肉体労働(自動販売機等への飲料商品の充填作業、以下ベンディング作業)に従事するグループの労働負荷を低減することで疲労感、慢性的な職業病及び身体の不調など改善に対する効果を検証した。 ベンディング作業に従事する成人従業員(36歳から60歳)から研究への参加に任意で同意した81名を対象とし、介入群Ⅰ、介入群Ⅱ、対照群の3群に分けた。介入群Ⅰには足型の3D計測から対象者用に個別に制作したインソールを日常業務に使用する介入を、介入群Ⅱには機能的ウェア(既成品の伸縮素材を使用した機能性コンプレッションタイツ)を日常業務に使用する介入を、対照群には通常の業務の継続を12週間行った。 その効果を質問紙調査から、介入によって身体への負担度及び職業病の愁訴の変化を10段階のビジュアルアナログスケール(VAS)から、作業中の活動量の変化を上前腸骨棘付近に装着した活動量計から、日々の作業に伴う疲労度を握力と背筋力の作業前後の測定から評価を試みた。 予想に反し、握力と背筋力は、作業前後で顕著な変化がみられず、ベンディング作業における疲労度は、このような最大筋力測定からは評価することが難しいことが明らかとなった。 インソール介入に関しては、介入後、顕著に膝関節の疼痛の愁訴(スコア)が明確に減少したとする対象者(Responder)がみられたものの、対象群全体としてみると明確な効果がみられない結果となった。 前年度の背筋力の増加の傾向と足部の解剖学的な姿位との関係では、安静立位時に足部が内反位にあるグループほど背筋力の増加傾向が強いResponderであることが示されており、今回の結果はグループ内におけるResponderのみに効果が認められたことを反映していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの研究の進捗状況を踏まえて、労働負荷低減への介入を行える段階に入ったという点は、本研究がおおむね順調に進展しているという現状を示していると考えられる。 予想に反して、介入によって労働者のグループ全体への効果を統計的に明らかとすることはできず、少人数のResponderのみに効果が認められた。この結果は、おそらく2つの課題を提示していると考えることができる。一つ目は、労働負荷という負荷強度がやや曖昧な身体活動に対する評価の困難さである。二つ目は、個人の解剖学的な特性によるインソールの効果のバラツキである。とりわけ、二つ目の課題は、別の見方をすれば、インソールに対する新たな知見であり、なぜこの装具がその身体活動に対する効果に関して広く一般的なコンセンサスを得られていないことを説明できる新たな知見であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、これまでの成果を踏まえて、その成果を国際学会等で公表することを計画していたが、昨今の社会情勢の変化に伴い、予定していた学会が軒並みキャンセルされるという事態に陥っている。また、海外の大学において研究のレビューを受ける状況もかなり難しい状態である。 したがって、今後はインソールによる背筋力等への効果を対象群を変えるなどして、その効果を再検証することへと方針を転換することを考えているが、状況によっては研究機関の延長も視野に入れている。
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