2019 Fiscal Year Research-status Report
フレイルや転倒予防のための簡易な歩行分析システムの開発とポールウォーキングの効果
Project/Area Number |
18K10845
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
松井 浩 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (60792950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究室長 (40335443)
二連木 晋輔 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (70741156)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血統変動を持続的に測定 / 運動による低血糖 / SMBGとCGMのタイムラグ |
Outline of Annual Research Achievements |
フレイルになりやすく転倒のリスクも高い高齢糖尿病患者に、血統変動を持続的に測定する持続グルコースモニタリング(CGM)を用いた運動指導を行うと、夜間低血糖の有無などもわかり安全かつ効果的な運動が可能となる。 しかし、気になるのは血糖自己測定(SMBG)値とのCGM値との乖離である。 そこで、CGMと運動に関してのエビデンスについて文献検索を行い、本研究のCGMデータと比較検討した。 レジスタンス運動に比べて、有酸素運動の方が乖離は大きく、特に、運動開始時の15分は過大評価する傾向にあり、低血糖を見逃す可能性がある。運動の強度も重要で、高強度の連続運動では乖離が大きいが、高強度のインターバル運動では乖離は小さい。有酸素運動では運動中に強度に応じて血糖低下が認められるが、レジスタンス運動ではその傾向は少ない。レジスタンス運動の方が有酸素運動よりも4.5~6時間後の血糖は低い傾向にある。運動のタイミングと血糖変化は、レジスタンス運動では早朝空腹時よりも夕方に実施した方が血糖変動は少なそうである。有酸素運動は、夕食後が他の時間帯より、血糖低下幅が大きかったという報告もある。高強度インターバル運動でも午前よりも午後の運動が効果的とされている。但し、運動に対する個人差は大きく、CGMを用いて運動効果を判定する必要があると考えられる。低血糖は運動療法の阻害因子のひとつである。特に、レジスタンス運動に比べ、有酸素運動では夜間低血糖による睡眠不足が生じる可能性がある。そのため、レジスタンス運動から有酸素運動へと運動の順番を変えることで夜間の低血糖を予防できる。他にも、中強度の有酸素運動に高強度インターバル運動を加えることで低血糖を予防することもできる。これらの文献と本研究のCGMデータには相違がみられなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
プレフレイルの高齢者30名を被検者にして実施予定の研究が、COVID‐19の影響で延期となったため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、フレイル予防を目指し、運動に良質なたんぱく質摂取を組み合わせた介入を、プレフレイル 30名 (J-CHS基準)を被験者として12週間の並列群間比較試験(ポールウォーキング運動群vs.通常歩行運動群)を実施する。 運動は最大心拍数の70%で30分間、週に3回で、運動後に良質なたんぱく質摂取(10~20g)を両群に対して行う。体脂肪量、骨格筋量、握力、膝伸展力、垂直飛び、開眼片足立ち、血糖、HbA1c、中性脂肪、コレステロール(HDL-C、LDL-C、TC)、乳酸、高感度C 、反応性タンパク、ビタミンD、転倒スコア(鳥羽研二,2005)、フレイルの基準(J-CHS基準)、総合評価モデル(基本チェックリスト)などを比較し、通常歩行に比べてポールウォーキングがフレイル予防や転倒リスク低減に役立つことを明らかにする。 併せて、20代~80代、各15名の計105名の被験者を対象に、5m歩行テストの際の歩行速度と歩行姿勢を2方向(前と横)から動作撮影し、被験者の目線、顎、背筋、腕、歩幅、つまさきの向きに着目して歩行の解析を行い、従来の歩行速度測定と比較する。これにより、簡易な歩行分析システム動作解析評価ツールの妥当性を検討し、再現性の高い簡易な歩行評価法、動作解析評価ツールの研究予算内で可能な範囲での開発につなげる。 さらに、通常歩行に比べ、ポールウォーキングがフレイル予防や転倒リスク低減に貢献するか、また、ポールウォーキングに良質なたんぱく質摂取を組みあわせることでフレイルや転倒予防につながるかの研究で得られた結果と、多人数の患者を測定する臨床現場でも再現性の高い簡易な歩行評価法の研究で得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
プレフレイルの高齢者30名を被検者として実施予定の研究が、COVID‐19の影響で延期となったため次年度使用額が生じた。
翌年度分として請求した助成金とあわせて、フレイル予防を目指し、運動に良質なたんぱく質摂取を組み合わせた介入を、プレフレイル 30名 (J-CHS基準)を被験者として12週間の並列群間比較試験の実施ならびに、20代~80代、各15名の計105名の被験者を対象に、簡易な歩行分析システム動作解析評価ツールの妥当性を検討し、再現性の高い簡易な歩行評価法、動作解析評価ツールの開発と成果の発表のために使用を計画している。
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