2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K10847
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小川 哲也 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (60586460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小幡 博基 九州工業大学, 教養教育院, 准教授 (70455377)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒトの走行動作 / 運動学習 / 経頭蓋直流電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの走行動作におけるトレーニング効果(運動記憶)について、脳の運動関連領域に対する電気刺激を用いて、記憶を系統的に操作することを目的としている。走行のトレーニング(運動記憶の獲得)として、左右分離型トレッドミルを用いて、左右のベルト速度が互いに異なる特殊な力学的環境下での走行課題を行う。同時に、大脳皮質の運動野に対して経頭蓋直流電気刺激を与え、刺激電極の直下における脳の興奮性を変化させる。走行のトレーニングは、実験により2種類の異なる力学的環境下のいずれかで行い、各々のトレーニング条件に対応した異なる運動記憶が形成されることが見込まれる。一方で、トレーニング時の脳への電気刺激についても、実験により、「陽極刺激」と「陰極刺激」の2種類の刺激のうちのいずれかが課され、刺激条件により異なる脳の興奮性が惹起されることが見込まれる。実験では、異なる運動記憶の形成が見込まれる2種類のトレーニング条件と、異なる脳状態を作り出す2種類の電気刺激条件における様々な組み合わせによりトレーニングを行う。トレーニング後、通常の力学的環境下において、脳に対する陽極刺激か陰極刺激のいずれかを行う。この際、事前のトレーニング時における力学的環境と刺激条件の関係性を反映した運動記憶が想起されることが見込まれ、すなわち、脳への電気刺激によって運動記憶が操作的に変更される可能性について検討するものである。当該年度については、電気刺激における最適な刺激条件について探索する一方で、トレッドミル上での走行時において、より簡易に脳の運動関連領域の興奮性を修飾することが見込まれる、被験者の身体前方および後方からの体幹部への牽引を用いた課題を予備計測として行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は4年計画の1年目であり、まずは、トレーニング時の脳に与える経頭蓋直流電気刺激における刺激条件の探索を行ってきたが、現状ではまだ、計測で使用する刺激条件の確定には至っていないため、引き続き検討が必要である。一方で、走行中の体幹部に対して前方または後方からの力場を課す方法では、力場の種類に依存した運動記憶の形成が起こっている可能性について一定の結果を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
トレーニングの脳に与える経頭蓋直流電気刺激における刺激条件について引き続き検討を重ねて確定することで、早期に本計測へと移行すべきと考えている。一方で、本計測では50名から70名程度を計測対象とする予定であることから、被験者を効率的に迎え入れるためのリクルーティング方法の検討や、また、取得したデータについて順次、正確かつ効率的に解析を進めるためのプログラムの作成にも並行して取り組む予定である。
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Causes of Carryover |
翌年度分として請求した助成金と合わせて、実験用機器を購入する予定である。
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Research Products
(4 results)